対象:事業再生と承継・M&A
会社買収には、株式譲渡と資産譲渡があると聞きました。具体的にどう違うのか、双方の違いを教えてください。
※この質問は、ユーザーの方から事前にいただいたものを、専門家プロファイル が編集して掲載しています。
All About ProFileさん
回答:2件
村田 英幸
弁護士
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株式譲渡と事業譲渡の違い
株式譲渡は支配株主が新たな株主となる人へ株式を譲渡するものです。
資産譲渡とおっしゃられているのは、事業譲渡のことでしょう。会社の有機的一体をなす財産を譲渡することです。当事者は譲渡会社と譲り受け会社で、株主は株主総会で特別決議をしますが、当事者にはなりません。
後藤 義弘
社会保険労務士
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ご質問ありがとうございます
''■ 株式譲渡 VS 資産譲渡''
**''【相違点】 会社への 「支配力」 に影響を及ぼすか否か''
「資産譲渡」は会社の設備を売却したり、売掛金を譲渡したり、単に会社の「資産」と「現金」の交換で完結する取引ですが、これらの取引は会社の支配力そのものに直接影響を及ぼすわけではありません。
一方、「株式譲渡」は、「資産譲渡」のようにモノと現金((譲渡を受ける株式の対価を「現金」の代わりに「自社の株式」とする現金支出を伴わない買収スキーム [株式交換] も用意されています。))を交換する取引である点では同じですが、株式には「配当」や「財産分配」を受ける経済的利益と、経営に参画する権利、この2つの権利が特典としてついてきます。 持っている株式の数に応じて権利が大きくなる、つまり支配力が強くなるという株式制度の原則です。
仮に、会社が発行している株式の全部を買い取った場合、今度は新株主が100%その会社を支配することになります。 「株式譲渡」は、会社の支配力に直接影響してくる取引であるという点において、単なる「資産譲渡」とは異なります。
ただ、ご質問には「買収の方法」とあります。
お話の「資産譲渡」だけでは、会社支配を得る「買収」の目的を達成することはできません。
そこで「資産」を「事業」と置き換えてみましょう
「事業」の譲渡となるとなると、設備などの「資産」に加え、許認可・技術・ノウハウ・顧客・従業員など、事業を構成する一体となったものをセットでお金と交換する取引となります。
ご質問が、「買収」ツール、つまり営業を含めた「事業」を構成するユニットを想定したものであれば、これは一般に「資産譲渡」とは言わず「事業譲渡」ということになるかと思います。
補足
''■ 株式譲渡 VS 事業譲渡''
**''【相違点】 会社を直接支配する効果があるか否か''
そこで、今度は「資産譲渡」を「事業譲渡」に置き換えて「株式譲渡」と比較してみましょう。
発行済み株式が1000株の会社の株式のうち、700株の譲渡を受ける「株式譲渡」を想定しましょう。
株式取得の結果、買収サイドは70%の「議決権」を得ることになり、経営上のほとんどの重要事項((通常、発行済株式の2/3以上を持つ株主は、ほとんどの経営上の重要事項について決定権限を有することになります。))を決めることができます。つまり完全支配に近い状態を生み出すことができます。
これは、ターゲットとなる ''会社を外側から間接的に支配する'' カタチです。
しかし、これはあくまで株主としての権利を取得したにすぎず、「事業」そのものを取得するものではありません。(逆に言えば、直接事業運営上の責任を負わなくてよいということになります。)
一方、「事業譲渡」はどうか? (事業の「一部」譲渡を前提にしています)
「事業譲渡」は「株式譲渡」と違って、ターゲット会社そのものを支配するわけではなく、欲しいものだけをいったんターゲット会社の外に取り出し、買収サイドの会社に事業として取り込む行為です。
つまり、事業譲渡後、ターゲット会社と買収会社との間に ''支配関係は生じず'' 、何の関係もなくなります。 お金を払ってモノをいただいてバイバイという感じです。
ご参考までに、同じく企業買収のスキームに「合併」がありますが、これは完全にターゲット会社を飲み込んでしまう言わば「同居型」の買収スキームです。
これに対し「株式譲渡」は先述のとおり、外側からの間接的支配にとどまり「別居型」の買収スキームと言えます。
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