対象:住宅設備
4月に1戸建新築予定のものです。
窓ガラスの種類で悩んでいます。
現在の予定では、ハウスメーカー標準の樹脂複合サッシのペアガラス
となっています。
断熱性などを考慮してLow-Eガラスにした方がよいのかと悩んでいますが、
差額がでますのでどの程度の効果が期待されるのかわからないため、質問いたしま した。
家全体の窓を変更する場合は、約15万円、LDKのみだと約5万円と言われていま す。
家は、南側にLDK,和室があり、掃き出し窓が3か所、リビングの西側にスリット窓 3つです。南側は道路に面しており、日差しを遮るものはありません。
もし変更するにしてもLow-Eガラスが2種類あるようで、
夏の暑さを防ぐ遮熱がよいか、熱を逃がしにくい断熱がよいのかなども悩みです。
専門家のご意見を参考にさせていただきたいと思っています。
よろしくお願いします!
タマミさん ( 愛知県 / 女性 / 30歳 )
回答:3件
大塚 泰子
建築家
10
ガラスはLow-E複層ガラス遮熱タイプをお奨めします
ノアノア空間工房の大塚です。
ガラスの種類についてお悩みということであくまでも私の見解ですが、
Low-E複層ガラスの遮熱タイプがよろしいかと思います。
性能についてはデータでの比較が確実です。
断熱性能を比較してみましょう。
断熱性能は熱貫流率Wによって評価されます。
数値が小さいほど断熱性能に優れています。
ガラス厚さ3mm、エア層12mmの場合を比較します。
単板ガラス6.0、
複層ガラス2.9、
Low-E複層ガラス(高断熱タイプ)1.9、
Low-E複層ガラス(遮熱タイプ)1.6
なんと断熱性能はLow-E複層ガラス(遮熱タイプ)が最も高いのです!!
次に遮熱性能を比較してみましょう。
遮熱性能は遮蔽係数によって評価されます。数値が小さいほど遮熱性能に優れています。
厚さ3mm、エア層12mmの場合を比較します。
単板ガラス1.00、
複層ガラス0.90、
Low-E複層ガラス(高断熱タイプ)0.84、
Low-E複層ガラス(遮熱タイプ)0.44
遮熱性能について高断熱タイプと遮熱タイプでは、遮熱タイプの方が約2倍の効果があります!!
上記のデータからも言えるように遮熱タイプがお奨めです。
少エネ、高熱費等を考えても決して高い買い物ではないはずです。
是非ガラスを変えて快適な住まいを手に入れて下さい。
ノアノア空間工房 大塚泰子
評価・お礼
タマミさん
2012/01/10 23:04早速のご回答ありがとうございました。
詳しい数値まで教えていただいたのでとてもわかりやすく参考になりました。
遮熱タイプがおすすめなのですね。
省エネや光熱費を考えて検討していきたいと思います!
本当にありがとうございました。
遠藤 泰人
建築家
2
夏の、朝日・夕日にご注意下さい
タマミ様
1)まず夏の暑さ対策に関してお話しします。
周辺の状況を観察して(というのは密集地の場合は元々陽が射さない事があるからです)、東側の朝日・西側の夕日が部屋の中に射し込むようでしたら、その窓は遮熱用のLOW-Eガラスとしたいところです。
昔から関東以西では西日をさけるために、西側には窓を出来る限り設けないようにしてきました。西日は夕方元々暑い時間に、ほぼ水平に近い高さで射してくるので、家の奥深くまで入り込みます。庇等の建築上の処理では防ぎようがありません。京都などで外部にすだれを掛けているのはその為です。
朝日も熱量・陽の入り方は夕方の西日とか変わりません。まだ涼しい朝方のことですので、しのぎやすいと言うだけです。しかしながら高気密高断熱住宅を前提に考えますと、東側も遮熱が必要になります。
南側に関しては、建築上の処理で(庇など)で夏の陽射しをガラス面に当たらないようにするのが、原則です。日射しを遮るものがないと言うことですが、夏の太陽の高さは高いので、通常の庇で十分陽射しはカットできるものです。
2)次に、冬の寒さについてお話しします。
この場合は室内の熱が外に逃げないようにする事が重要になります。したがって、上に述べた朝日・夕日が射し込む窓以外は、断熱のLOW-Eガラスが適しています。
しかしながら、南側の大きなガラス戸などは、ガラスの断熱性能より、ガラスで冷やされた冷気がガラス面に沿っておりてきて床の上を流れていく、コールドドラフト現象を切ることにお金を使った方がよいと思います。一番は障子(洋間でも)二番目は床までのたっぷりのカーテンという事になると思います。
その上で、予算があれば断熱のLOW-Eガラスとしたいものです。
もし、南の掃き出し窓で、夏の日中の陽射しがガラス越しに室内に入ってくるような設計の場合(近頃のデザイン住宅によくあります)遮熱のLOW-Eガラスが適していることになりますが、その場合は低い高度から室内奥深く射し込んでくる、冬の暖かな陽射しも切ることになります。
従って、ガラス以前に、建物のデザインの考え方そのものがしっかりしていないと、なかなかうまくいかないものです。
参考にしていただけたら幸いです。
評価・お礼
タマミさん
2012/01/10 23:15早速のご回答ありがとうございました。
方角によっても窓を選び分ける必要があるのですね。
夏の日差しを避けるには、庇があるとよいことや建物の設計にも
関わるということを知りませんでしたのでとても参考になりました。
専門家の方の意見は本当に貴重ですね。
ありがとうございました!
田中 伸裕
建築家
3
遮熱と断熱を使い分けて
窓がついている方位が
北北東から北北西にかけては断熱性能重視
それ以外の方位にかけては断熱性能に遮熱性能も合わせて考えると良いです。
ただ、愛知県は年間日照時間が全国7位と非常に恵まれている地域です。
南面については太陽高度が高い夏季の日差しを庇や軒でガードできるならば、
太陽高度の低い冬の日差しを遮熱してしまうのはもったいないと思います。
私自身、冬に岐阜から愛知まで打ち合わせに出かけると暖かいという感じます。
変更箇所については、普段の使い方がLDKでの滞在時間が長く、
LDKと他の部屋はドアや扉で区切って使うならばLDKのみでも良いでしょうが
LDK以外でもそれなりの時間を過ごし、LDKと和室や他の部屋は開け放したまま使用する
という使い方をされるのでしたら全体で変更しないと効果的ではありません。
田中伸裕建築事務所http://homepage3.nifty.com/arch-nobu/
評価・お礼
タマミさん
2012/01/10 23:21ご回答ありがとうございました。
愛知県は、本当に暑いということを感じます。
庇や軒でガード出来るように検討していきたいと思います。
やはり冬の日差しを遮熱してしまうのはもったいないのですね。
ご意見を参考に決めていきたいと思います。
専門家の貴重なご意見本当にありがとうございました。
田中 伸裕
2012/01/11 12:07評価ありがとうございます。
いかに自然環境を上手に使いそしてコントロールするか
それが快適な住まいの第一歩ではないかと考えています。
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