対象:住宅設計・構造
家を新築するにあたり、プランや価格面で業者を2つに絞ったところ、使う柱の太さがそれぞれの会社で異なることがわかりました。どちらの業者もそれぞれの良いところしかいわないのですが、耐震性や構造躯体の強度という面で、3.5寸柱より4寸柱を使用している業者を選ぶべきか悩んでいます。3.5寸柱を使う業者は、「2階建てであっても構造計算をきちんと行っていて耐震強度の面は全く問題ない」とのこと。また、接合部には構造計算的に必要なところには金属を使用するが、基本は木(ほぞ?木を組み合わせる)を使用するとのこと。専門家の皆様に是非、的確なアドバイスをいただければと思っています。よろしくお願いいたします。
おにいやさん ( 埼玉県 / 女性 / 48歳 )
回答:6件
耐震性能は柱の太さよりも壁量で決まる事が多いです。
大阪で設計事務所をしています。
木造住宅の場合、2”x4”も同じですが、柱の耐力よりも壁の量で耐力が決まる事の方が多いです。唯一柱が土台にめり込む検討を行う際に、一件の家で1~2箇所4寸柱を使用しないともたない部分が出てくるかと思います。これは全て壁の取り方、間取りの決め方に由来します。
3.5寸柱を使う業者さんでもしっかり構造計算をして下されば問題ありません。ただ、木造で二階建ての場合、構造計算と説明しながら、実際は単に壁の量だけを計算する壁量計算で済ませる場合もあり、その場合ですと柱のめり込みの検討等は行いませんので危険です。
「構造計算と云うのは許容応力度計算を行うと言う事ですか?」とはっきり確認しましょう。
壁量計算も建築基準法に明記された計算方法ですので、それ自体違法ではないのですが、昨今の様に地震が多発しますと、人の生命を守る為の最低の基準を定めているに過ぎない建築基準法だけでは心もとなく感じます。
これから造る家は木造住宅と云えども、許容応力度計算を行うか、住宅性能表示制度に規定される耐震等級を高等級なものを目指されるか、いづれかの手段を選ばれた方が良いかと思います。
業者さんの説明された、「構造計算的に必要なところには金属を使用するが、基本は木(ほぞ?)を組み合わせる)を使用する」と云うのは、単に在来木造軸組工法で、特殊な金物工法を用いません。と言う意味で特に特別なことは言っておられません。
評価・お礼
おにいやさん
2011/08/26 22:42福味様 専門家からの貴重な見解をいただき誠にありがとうございました。とても勉強になります。許容応力度計算や住宅性能表示制度に規定される耐震等級を高等級にすれば、3.5寸の太さの柱でも強度の面では問題ないという認識でよろしいのでしょうか?見えない部分だからこそ安心できるものを選びたいとは思います。
回答専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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断面欠損
横浜の設計事務所です。
大体の回答は他の方と同じですが、一つ付け加えるならば柱の断面積は少しでも
大きいほうが欠損には有利です。
木造は「ほぞ」と「ほぞ穴」という仕口加工を行います。
梁にほぞを作り、柱にほぞ穴を開けるわけです。
通し柱に関しては、二方向からほぞ穴が開きますので断面欠損が大きくなります。
もし三方向から梁がとりつくようならかなり欠損します。
通し柱が3.5寸であった場合は、欠損部で折れることもあるので注意が必要です。
評価・お礼
おにいやさん
2011/08/26 22:53小松原様 専門家からの的確なアドバイスをいただきありがとうございました。やはり、見えない部分だからこそ安心できるものを・・・と思います。決断できそうです。
回答専門家
- 小松原 敬
- (神奈川県 / 建築家)
- 一級建築士事務所 オフィス・アースワークス 代表
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耐震強度をより保ちたい場合は・・・
3.5寸、4寸と悩みますよね。
ところで、耐震性をより強固のものにされたい場合は、長期優良住宅などでも活用する「許容応力度計算」という構造計算方式を採用し、安全率を1.25倍に保つという方法もあります。
文面に「構造計算をきちんと行っている」とありますが、通常木造2階建ての場合は、壁量計算という簡易的な方法をとります。先方がどこまで対応できるかはありますが、もし耐震性を確保する場合は、「長期優良住宅などの場合に採用する許容応力度計算でお願いできますか?」という話を出すのも一つでしょう。どちらの工務店さんも対応されるのなら、後は相性や誠実さ、信頼性で選ぶのも手です。
ただし、構造計算費が別途15~25万円かかりますが、契約を前提に折衝するのも一つかも知れません。
参考になれば嬉しいです。
八納啓造
評価・お礼
おにいやさん
2011/08/27 09:58八納様 専門的見地からのご指摘ありがとうございました。とても参考になります。今後、どちらかに決めていく予定で下りますので、許容応力度計算の依頼を含めて、業者とやりとりをしてみたいと思います。そして、プランの提案力や営業の方、会社の対応等を総合的に判断して決めて行ければと思います。ありがとうございました。
回答専門家
- 八納 啓造
- (建築家)
- 株式会社G proportion アーキテクツ 代表取締役
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関尾 英隆
工務店
1
4寸が望ましいですが、判断はいろいろあります
ご質問の件、3.5寸と4寸では同じ材であれば、強度的には4寸の方が当然強いです。出来れば4寸を使いたいところです。構造計算上は3.5寸でも4寸でも問題のない強度を確保することができますが、実際に比べるとその差は必然的に出てくると思います。
3.5寸を使うのも理由はあります。一つはやはり価格です。構造材は㎥(リュウベイ)単価と言って、材積(容積)で価格が決まります。柱の場合、単純比較で1.3倍の材料費の差があります。柱が3.5寸なら梁も梁幅は3.5寸材を使用することになります。家全体での構造体の材積量となるとそれなりの差になってきます。
もう一つが、有効巾です。木造住宅で一般的なモジュールである3尺(910mm)の場合、廊下の内側の有効寸法が、4寸と3.5寸では765mm、780mmとなり、小さい数字ですが、使い勝手の差が出てきます。広い土地にゆったりと建てられるのであれば、柱をずらせば階段や廊下巾を確保することができますが、狭小敷地などの場合には、あえて3.5寸を選ぶこともあります。
3.5寸は決して駄目なことではないです。梁の柱へのめり込みなど、細かく話をしだすと長くなってしまい、いろいろな面で4寸が良いことが多いのですが、トータル的に判断していただければと思います。
評価・お礼
おにいやさん
2011/08/26 22:49関尾様 専門的な見地より詳しい説明をいただき、ありがとうございました。ローコスト住宅をうたっている業者は3.5寸の太さの柱を使用してコストダウンをはかっているものなのでしょうか?
納得!という感じです。ありがとうございました。
関尾 英隆
2011/08/27 09:19評価ありがとうございます。ローコストビルダーや建売業者は3.5寸を使っているところがほとんどだと思います。差別化のために「ヒノキ4寸材使用」なんて宣伝している業者もあります。私たちも極力4寸材を使っていますが、コスト、面積的な関係で3.5寸を使うことはあります。その場合、通し柱だけは4寸を使うようにしています。ご参考下さい。
下大園 幸雄
建築家
5
価格差が無い場合は、4寸・・・
ログ家設計の下大園です。
3.5寸の業者さんに4寸での見積もりを出して頂いてから比較されては如何でしょうか。 構造材の体積では25%位増えますので仕入価格も比例して上がります。 価格の変動が無い場合は、4寸が構造的に安定します。 上棟中の作業で
3.5と4寸は揺れが全然違います。金物設置時の釘、ビス等の効果も違ってきます。 構造計算で壁量のチェックしますが、地震が直下型の場合は、柱が大きい方が負担します。 構造的な審査は、瑕疵保証で検査されますので構造的な問題は無いと思います。(加入しているか確認必要です。指定期間の加入者番号有り。)今後の対応として、担当者の姿勢、会社の姿勢対応、価格等が重要な判断材料です。工事中の現場を数回視察するのも良いと思います。(単独視察)
参考にしてください。
補足
単独視察は、普段の進行状況を視察する意味です。前以て視察する情報は、整理整頓されますので判断しにくい。
評価・お礼
おにいやさん
2011/08/27 09:52下大薗様 貴重なご指摘をありがとうございました。金額の面やデザイン性、営業の方や会社の対応も選択には大きな要素を占めます。どちらかの業者に決めることになると思いますので、その辺りも含めて決断していきたいと思います。ありがとうございました。
島田 直人
建築家
-
耐震等級は
ご希望の耐震等級は決まられましたか?
柱の太さより空間の構成により、構造壁を入れたりして総合的に構造を決めると良いと思います。また、フラット35Sに対応されるのであれば、耐震等級は2以上です。
弊社では120mm×120mmと170mm×170mmの柱を使用していますが、この柱をダブルで入れることも多いです。狭小地では120mm×120mmの使用になります。
耐震等級を決めてから、構造を決めるのが良いと思います。
宜しくお願い致します。
評価・お礼
おにいやさん
2011/08/28 22:12島田様 貴重なご指摘をいただき、ありがとうございました。皆さんからの専門的なお立場からの見解をいただき、3.5寸の柱を使用している方の業者に確認したところ、壁量計算だけでなく許容応力度計算できちんとした構造計算を算出しているとのこと。耐震等級は2級以上だそうです。疑問点をクリアにできて安心できました。ありがとうございました。
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