元気がない会社、元気が足りない会社、元気が出せない会社
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「社員に元気がない」というお話を、ほぼ同時期に違う会社から聞きました。
一社は大きな資本が入っている相応の規模の会社なので、そう簡単につぶれるような心配はない会社ですが、業績が厳しいため、雇用調整や一部社員の休業など人事的には守りの施策を行っているようです。特にその施策に直接関わる人は、する側もされる側も疲弊してしまっているようで、このあたりの動きが落ち着くまでは、社員に元気を出せと言ってもなかなか難しいのかもしれません。
もう一社は数年前に民事再生をしており、今はスポンサーがついて再建途上で、徐々に良い方向に向かっているようですが、社員が様々な不安を抱えていることは間違いなさそうです。経営陣は「社員がもう少し何らかの夢を持てるように」といろいろな制度改革などを考えているようですが、雰囲気が変わっていくまでには暫く時間がかかるように感じました。
もちろんこの二社とも、みんながみんな暗い顔で仕事をしている訳ではなく、部門によっても立場によっても仕事内容によっても違います。元気な人もやる気満々な人もいます。ただ全体で見た時に活気あふれる雰囲気と言えないことは間違いなく、お話を伺った方々もそんな所をおっしゃっているようでした。
私が今まで見てきた中で思うのは、個々の社員の気持ちの中で不安の比率が高くなり、不安を抱えた社員の比率が高くなっている会社では、全般的に社員の元気がないということです。
「社員に元気がない会社」は「不安の総量が大きい会社」と言えるのだと思います。
そうなると、「社員に元気を出させるには不安の総量を減らせば良い」という事になりますが、不安の根本には社会情勢、経済環境、将来への見通しといったものがありますから、いろいろな施策や取り組みをするにしても、そう簡単には行かないだろうと思います。
ただ、この「元気がない」という感覚の中には、「もともと元気が足りない」と「元気が出せない」が混じっていることがあります。
「もともと元気が足りない」というのは、あえてそういうタイプの人材ばかりを集めてしまっているという採用上の問題があり得るという事、「元気が出せない」というのは、仮にマイナスに働く動きを取らざるを得ないとしても、それを増幅させることをしてしまっていたり、ちょっとした物の言い方や態度、雰囲気作りなど、要は何らかの原因で元気(やる気)を失わせてしまっている事です。「元気が足りない」と「元気が出せない」は、自分たちの努力次第で改善できる部分でしょう。
もし「社員に元気がない」と感じたならば、その中に「元気が足りない」と「元気が出せない」が含まれていないかを考えてみる必要があると思います。もちろん「不安の総量」を減らしていければ、それが一番なのは間違いありません。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
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