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「報・連・相」の“相談”だけが違うこと

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 私の思い・考え

 組織のコミュニケーションにおいて、「報・連・相」が大事とよくいわれます。このうち、「報告」「連絡」については、多くの人が半ば義務として行っているように思いますが、「相談」に関しては少し違っていて、あまり積極的に行われないことも多いのではないでしょうか。

 

 これは、以前あるコンサルタントの講演を聞いたときのことです。

 年令は50代後半、大手企業の元部長という人で、そこで培った経験と専門性を活かしてシニア起業をしたようです。起業して間もないということで、何事にも一生懸命で、結構力が入っている感じがします。

 お話をうかがっていると、大きな仕事に携わった経験も豊富なことがよくわかり、明快な物言いをされる優秀そうな人です。

 

 そんな中で、私が気になったのは、講演の最後にいくつかあった質疑応答の場面でのことです。

 事業の進め方、問題への解決策、人事施策といったことへの見解や意見を求められるような質問でしたが、どの質問に対しても非常に明快な回答をされています。「○○の場合はこうすべき」「こうあるべき」「○○のような施策が成功する」などといった感じで言い切っています。

 

 一見すれば、明快で歯切れが良いと言えますが、私自身はこの人に何かを相談したいとは、失礼ながら思いませんでした。講演での質問という中で、断片的な情報しかないにもかかわらず、すべての答えが一方的で柔軟性がなく、聴く耳を持っていないように感じられたからです。

 

 たぶん、ご自身の経験に自信があり、今までもそうやって成功してきたのだろうと思いますが、何十年も在籍して多くのことがわかっている自分の出身企業と、コンサルティングの形でかかわるクライアント企業とは、環境がまったく異なります。

 

 にもかかわらず、あまりにもはっきりと言い切っているので、たぶんこの人に何かを依頼しても、自分のやり方へのこだわりが強く、話をよく聞かず、相手の事情にはあまり配慮しないように感じて、仮に「相談」したとしても、一方的な答えを押し付けられて、良い結果にならないと思ってしまったのです。

 

 「報告」「連絡」の目的は、相手に知らせる、理解してもらうことであるのに対して、「相談」はどちらかといえば自分のためにすることです。何か自分のプラスにするために、質問したり助言を求めたりするわけですが、それに見合うものが得られないとわかれば、その人に「相談」などをする訳がありません。

 

 私が感じたようなことは、上司と部下の間や先輩と後輩の間など、企業の中でもよくあることです。

 「あいつは全然相談をしてこない、報連相がなってない」などというマネージャーにときどき出会いますが、特に「相談」に関しては、される側の姿勢や態度に問題があることが少なくありません。

 

 「報告」「連絡」は、“する側”が相手の立場にたつ必要があり、「相談」は、それとは反対に、“される側”が相手の立場にたつ必要があります。

 この区別を意識していれば、もっと多くの「相談」がされるようになり、組織内でのコミュニケーションは、さらに良くなっていくのではないでしょうか。

 

 

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