バブル期に高額で購入した不動産は、地価の大幅な下落や景気の低迷により、大きく値下がりし、購入時よりも高い値段で売却するのが難しいのが事実です。
不動産を売却して利益が生じると所得税と住民税合わせて20%(5年超保有のもの)の税率で課税されますが、反対に損失が生じた場合にはこれは原則として何ら考慮されません。
もちろん、同じ年に不動産の売却益があればこれと通算することはできますが、他に所得があったとしても通算することができないようになっています。
利益は課税されて損失は考慮されないというのは、大変厳しい取扱いですが、マイホームの売却についてはこれが緩和されています。
次の条件を満たすと、マイホームの売却損は、他の所得(サラリーマンの給与所得や自営業者の事業所得など)と通算することが認められています。
(条件1)5年超保有していたものであること(平成25年中の売却であれば、平成20年以前に取得したもの)
(条件2)(イ)10年以上の返済期間の住宅ローンを組んで買換えをしていること
又は
(ロ)売却したマイホームに当初返済期間が10年以上の住宅ローンが残っており、その残額が、売却代金よりも多いこと(オーバーローン)
(条件3)買換えの場合は、買換えたマイホームの床面積が50㎡以上であること
(条件4)親族間の売買取引でないこと
なお、(条件2)(ロ)の場合には、オーバーローン相当額が通算の限度とされています。
例えば、売却直前の住宅ローンの残額が1,800万円、売却代金が1,000万円という場合には、売却損のうち、800万円が通算の対象金額とされます。
また、売却年の所得と通算しきれない場合には、その通算しきれなかった損失の金額を翌年以後3年間に生じた所得と通算することもできます。
但し、その年の所得金額が3,000万円を超えてしまう場合には、繰越による控除はできません。
なお、(条件2)(イ)の場合には、買換えた住宅について10年以上の返済期間の住宅ローンがあるため、これについて、住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)をあわせて適用することができます。
このコラムの執筆専門家
- 大黒たかのり
- (東京都 / 税理士)
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