マイホームの買換えにあたり、住宅ローンを組んだ場合であっても、住宅ローン控除が受けられる場合と、受けられない場合があります。所得税は、適用する特例によっては、同時に他の特例を併用してはいけないものがあるからです。
(1)住宅ローン控除が受けられる場合
5年超保有していた住宅を売却し、売却損が生じた場合には、「居住用財産の譲渡損失の損益通算の特例」を受けることができます。
住宅の売却損を、他の所得(給与所得や不動産所得)から控除できるという特例です。
また、この特例で他の所得から控除しきれない売却損は、翌年以降3年間繰り越して、他の所得から控除(繰越控除の特例)することも可能です。
この、損益通算、繰越控除の特例は、買換えた住宅に係る「住宅ローン控除」と併用することができます。
但し、繰越控除の特例及び住宅ローン控除は、その年の所得が3,000万円を超える場合には適用を受けることができません。
この他、売却した住宅について、何らの特例も受けないという場合には、もちろん住宅ローン控除の適用を受けることができます。
(2)住宅ローン控除が受けられない場合
住宅を売却し、売却益が生じている場合には、「居住用財産の課税の繰り延べ」「居住用財産の3,000万円特別控除」など、利益を減額する特例を受けることができます。
しかし、売却した住宅について、これらの特例の適用受けた場合には、買換えた住宅について「住宅ローン控除」を受けることができません。
居住用財産の売却益の特例は、場合によっては売却益に係る税額がゼロになることもあり、目に見えて大きな減税効果がありますが、「住宅ローン控除」は最長で10年間の減税(平成24年居住ならば、10年間で最大300万円の減税)を受けることができます。
安易に特例の適用を決めずに、売却益についての税額を減らすのか、それとも、10年間トータルでの税額を減らすのか、どちらの特例を適用する方が税額を抑えることができるのかをシミュレーション計算するのが賢明です。
このコラムの執筆専門家
- 大黒たかのり
- (東京都 / 税理士)
- 大手町会計事務所 代表税理士
資産運用と節税のことならお任せ下さい。運用会社出身の税理士。
今の運用に満足ですか。今の税金の支払に満足ですか。今の相続対策に満足ですか。不安な時代だからこそ、確かな情報と信頼できる相談相手が必要です。運用も節税もすべてオンリーワンのオーダーメイド。土日早朝深夜も対応する身近なパートナー。
「税金」のコラム
新NISA 海外転勤(非居住者) Q&A(2024/03/07 10:03)
2023年度税制改正大綱 コインランドリー、マイニング節税防止(2023/02/14 14:02)
2023年度税制改正大綱 暗号資産時価評価の見直し(2023/02/07 14:02)
2023年度税制改正大綱 スタートアップへの再投資非課税制度の創設(2023/01/31 14:01)
2023年度税制改正大綱 高所得者に対する課税強化(2023/01/24 14:01)
このコラムに類似したコラム
認定長期優良住宅(200年住宅)新築等特別税額控除の概要 佐藤 昭一 - 税理士(2010/09/01 18:22)
住宅ローン控除の改正について 佐藤 昭一 - 税理士(2010/09/06 14:18)
マンションのリフォームをした場合でも住宅ローン控除は適用できますか? 松本 佳之 - 税理士・公認会計士・行政書士(2016/07/20 13:15)
住宅ローンを繰上返済した場合の住宅ローン控除 松本 佳之 - 税理士・公認会計士・行政書士(2015/12/24 18:08)
夫婦の共有名義で住宅を取得した場合の住宅ローン控除 松本 佳之 - 税理士・公認会計士・行政書士(2015/11/07 13:33)