自己評価は高いが周囲から見るとそれほどではないという人に、時々出会う事があると思います。特に人事評価などを通じて、いろいろ経験されている方も多いのではないでしょうか。「本人に自覚してもらいたいが、なかなか納得しない」「納得させようとするとどんどん粗探しのようになってしまう、かといって言わない訳にはいかない」…。このような部下を持った上司は悩ましいと思います。
私も多くの人と接してきて、そんな人への対応ではうまくいったことも失敗したこともありますが、その中で一つ共通して感じてきた事として、自分の評価、特にマイナス評価に過剰に反論する人は、その行為で自分の気持ちをコントロールしたり、バランスを取ったりしようとしているように見えることです。
背景には、何らかのコンプレックスや自分基準の思い込みがあり、それは生い立ちだったり学歴だったり人間関係の中での事だったり、仕事とは直接関係ない過去の経験、体験に起因することも多いようです。「自分はできる」と一生懸命言い聞かせているようなところがあります。ですから、こういう人を簡単に納得させようなどと考える事自体が無理なのだと私は思っています。
結婚したり子供ができたり病気になったり、そんな事をきっかけに急に丸くなったなんていう人がいますね。結局本人がいろいろ経験して、自分なりのきっかけで自分自身で解決するしかないということなのです。
そうは言っても仕事への影響を考えると、上司の役割として放置しておくこともできません。
では上司や周りの者としてどうすれば良いのか・・・。結局は相手の立場、人格を認めてコミュニケーションを取り続けるしかないと思います。相手のプライドを考え、話し方に配慮し、相手への期待感、良いものは良い、悪いものは悪いと伝えることです。納得させようなどと考える必要はありません。そんなに簡単に人は変わりません。でも続ければ多少の影響を与えることはできるはずです。
こういう人は自分にとって関わりたくない相手だったりしますが、役割としてコミュニケーションを続けていると、いつか劇的に変わった本人から感謝されるなんていう経験ができるかもしれません。(私自身が相手を困らせないようにとの自戒を込めて)
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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