- 福味 健治
- 岡田一級建築士事務所
- 大阪府
- 建築家
-
06-6714-6693
対象:新築工事・施工
原発事故以来、電気代が高騰するのではとの懸念からガスが見直されて来ています。
本来、ガスは電気に比べエネルギーコストは安いと云われてきました。その為調理機器や暖房機器にガスを用いる機器があったのですが、空気を汚す、掃除が大変、トータルコストが高くなる(ガスを使わなくても基本料金がかかる)と云った理由からオール電化住宅が普及してきました。
また、高気密高断熱住宅と空気を汚さないオール電化住宅の相性が、とても良い為省エネルギーの観点や、オープンキッチンや開放感のあるリビングと云ったデザインが可能になったことも、オール電化住宅は普及した理由かと思います。
ガス器具や灯油を使う暖房器具は室内の空気を汚します。今は24時間換気設備が義務化されていますので、換気扇さえ動いていればガス中毒の心配は無くなりましたが、ガス調理器具は空気がIH調理器具に比べ、空気が対流しますので、料理から出る臭い・油分・煙が充満する恐れがあります。
高気密・高断熱住宅に特化していなくても、最近の家の造り方はネダレス工法にしたり、グラスウールの入れ方が上手になったせいで、一昔前の家に比べ随分高気密化しています。もし何も考えずオール電化住宅の様な、オープンキッチンや垂れ壁で区画しない対面キッチンを採用したのであれば、新しく綺麗になったリビングにサンマの臭いが充満することになるでしょう。さらに、リビングに吹き抜けがあれば臭いは家中に広がってしまいます。
今までは、ガスからIHにと云う流れが定着していましたので、油汚れや臭いがあまり問題となりませんでした。しかし、キッチンのオープン化が珍しくなくなった今の間取りと工法で、IHからガスと云う流れになりますとこの問題が表面化すると思います。
また、24時間換気ですが、小さな換気扇が家の中に1台か2台、静かに回っているだけですが、二時間経つと家の中の空気を全て入れ替えてしまう能力があります。
これだけ空気が入れ替わってしまうと、普通に考えれば暖房器具を動かし続けても、厳冬期は寒くていられないと思うのですが、そう云った苦情は聞いた事がありません。私の想像ですが24時間換気扇は厳冬期や真夏には止めている家庭が多いのではと考えています。
FF式ではないガス暖房や灯油暖房を使用している家庭では、この換気扇が命綱となりますので、くれぐれも止めない様にしてください。光熱費が気になるのであれば、熱交換機能付の換気扇も市販されていますのでそちらで対応されればと思います。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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