- 中沢 努
- パンセ・ソバージュ・アンド・カンパニー 代表
- 東京都
- コンサルタント・研修講師・講演講師
対象:人材育成
人間的行動入門は、社会人向けリベラルアーツ教育「ビルドゥング」の中にある、「人間力や人間性を高める」ための教育コースです。
ビルドゥングはパンセ・ソバージュ・アンド・カンパニーにより開発された「金、実利、損得の入り込まない領域における個人の意識/思考/行動の訓練と強化」のための教育プログラムであり、「西洋哲学」と「経営コンサルティングの場で得られた現場での経験」が融合したユニークなメソッドによって行われます。
人間的行動入門のテーマは「実存的な立場変更」。
「相手の景色だとどう見えるのか?、それを見ている人間は何を感じるのか?」というテーマで具体的な事例を用い、深く知り、深く考え、深く気づいていきます。
知らず知らずのうちに陥っている「人間の物象化(もの化)」。
自分が物象化しないためには、世の中に環境適応しながらも同調しすぎない生き方を確立させねばなりません。
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「現代に生きるマルクスの「物象化」」
病人を抱えたある家族から聞いた話しだ。
病人であるその老人は助かる見込みのない病にかかっており、病院を行ったり来たりしていた。
本当は入院できればよかったのだが、重篤を脱するとまた退院されられてしまうのだった。
ある夜のこと。
老人が痛みを訴えた。
家人は救急車を呼ぶことを躊躇した。
老人の家は静かな住宅街の中にあった。
そしてそこの住人達は互いに騒音を立てないように配慮し合っていたからである。
もちろん本当に具合が悪ければ救急車もやむを得ない。
しかしその晩の老人はなんとか大丈夫そうだった。
家人は救急車でなく、タクシーを呼んだ。
真っ暗な住宅地にタクシーが滑り込んできた。
苦しげな様子の老人を案じながら家人が「○○病院へ、苦しそうなので急いで下さい」と言った時だ。
運転手が2人に怒鳴り声を浴びせた。
「うちはタクシーだよ。病人ならば救急車を呼べばいいだろう」
運転手と喧嘩をしている場合でもないので、家人は運転手に頭を下げ、病院へ向かってもらったそうだ。
私は思った。
「言われなき怒号を浴びせられた家人もお気の毒だが、運転手はもっとかわいそうだ」
苦しんでいる老人を目の当りにしたら、「大丈夫ですか、頑張ってください」という気持ちが自然に湧き出てくるものだ。
静かな住宅街を見れば、救急車を呼ばなかった理由を察することも難くない。
義務だとか責任だとかそういうこと以前に、目の前に苦しんでいる人がいたら、その生々しさに痛みや動揺を感じるものだ。
病気の老人を抱えた家族に共感し、やさしく接するのが自然である。
それが「生き物」として、「人間」として、正常な在り方だ。
それがそう思わないのである。
きっとその運転手は、正常な本能が歪んでしまうような「何か」を抱えているのだろう。
マルクスは、人間的なものが物であるかのように意識されたり、また物のように扱われることを「物象化」と言った。
この運転手は「苦しむ老人」を「人」としてではなく「物」として意識し、“もの的”に扱った。
それは、運転手が自分自身を「人」ではなく「物」として扱っていることを意味している。
他人を物のように扱う人というのは、実は自分自身が物になってしまっている。
だからそのようなことができるのだ。
社員を物のように扱う社長。
部下を物のように扱う上司。
派遣社員を物のように扱う正社員。
すさんだ職場、すさんだ社会・・・。
あなたの身近に「人間でない人間」はいるだろうか?
あなたは、知らず知らずのうちに「物象化」していないだろうか?
(中沢努「思考のための習作」から抜粋)
http://profile.ne.jp/w/c-45636/
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◆ 教材は「人間を深く考える専門家」による手作り。
◆ 扱うテーマは全て「今、起こっている現実の問題」。
◆ 教えるのは企業の現場を熟知した「日常語による哲学者」。
「仕事の質はそれをやる人間の質に依存する」。
さあ、あなたも他社を圧倒的に凌駕する高質の仕事を体現するために「自分」を鍛えてみませんか。
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パンセ・ソバージュ・アンド・カンパニー代表
中沢 努
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【リベラルアーツ研修、その他メディア】
◆ NHK 『首都圏ネットワーク』(総合テレビ)-2013年5月29日 (http://profile.ne.jp/w/c-111578/)
◆ 東京新聞 『こちら特報部』 ビジネスマンよ 哲学を学べ 狙いはリーダー育成 -2013年7月7日
◆ リベラルアーツ研修/教養研修-日本経済新聞-2013年12月2日 (http://profile.ne.jp/w/c-125610/)
◆ 同上-フジテレビ「めざましテレビ さきつぶ」-2013年12月10日 (http://profile.ne.jp/w/c-126230/)
★リベラルアーツ研修/教養研修について(資料リンク集)★
http://www.pensee.co.jp/torisetsu/3rd/index.html
<参考1>
せいさつ(009)塵芥から光を見る(http://profile.ne.jp/w/c-38412/)
せいさつ(010)「まあいいか」がもたらすもの(http://profile.ne.jp/w/c-38655/)
せいさつ(029)一流と三流を弁別するもの(http://profile.ne.jp/w/c-40006/)
せいさつ(031)あなたは精神論を馬鹿にしますか/できますか(http://profile.ne.jp/w/c-40071/)
せいさつ(043)夫や妻への愚痴を中和/解毒する方法(http://profile.ne.jp/w/c-42901/)
せいさつ(042)正直に生きる(http://profile.ne.jp/w/c-42900/)
せいさつ(072)安値と無料 人間の質を安っぽくするもの(http://profile.ne.jp/w/c-44914/)
せいさつ(091)知ある無知 ドクタ・イグノランティア(http://profile.ne.jp/w/c-46425/)
せいさつ(100)思想に命をかけた女性 シモーヌ・ヴェーユ(http://profile.ne.jp/w/c-47049/)
<参考2>
深く考える方法・・ 物事 深く 考える 方法論 手法 訓練(http://profile.ne.jp/w/c-51804/)
人間性を高める方法 ・・人間性向上のヒミツ(http://profile.ne.jp/w/c-52053/)
信頼される人になるには?→信頼される人と信頼されない人の違い(http://profile.ne.jp/w/c-53606/)
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自分を知る方法(自分の器を知る方法/人間の器を知る方法) (http://profile.ne.jp/w/c-54208/)
これからのリーダーに求められるものは何か?(その2) (http://profile.ne.jp/w/c-55063/)
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