
- 小笠原 隆夫
- ユニティ・サポート 代表
- 東京都
- 経営コンサルタント
-
03-4590-2921
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
- 荒井 信雄
- (起業コンサルタント)
「聞く気になれなかったアドバイス」の話
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ここ最近、自分の経験を活かして企業や個人にアドバイスをするコンサルタントのような仕事をしたいという相談を受けることが何度かありました。私よりも社会人経験が長い年上の人から若手の人まで、年齢は様々です。私がコンサルタントとして今に至る経緯を参考にしたいようですが、ただ「アドバイス」と言っているのは何か勘違いしているようで気になります。
私の場合はコンサルタントとは言っても、企業のかなり実務的な部分も協働したりするので、提言やアドバイスだけをしていれば良いという感じではありません。あくまで私が今まで経験してきた感覚として、実際の現場で手を動かせない人に企業はあまり価値を見出してくれないように思います。口だけでなく実際に自分で動いて、生産物を形作れる人でなければだめだということです。
「企業にアドバイスしたい」と相談された人たちから、共通して感じたことがあります。
自分の知識や経験をできるだけ社会還元したいという思いはよくわかり、その点は素晴らしいとは思うものの、その一方で程度の違いはありますが、「こうしたい」「こうすべき」という思いが強く、さらにそれを今まで実現できなかったことが多く、その経験に基づいて「アドバイスがしたい」と言っています。
思い自体は悪いことではありませんが、こういう人がいざアドバイスをする立場になると、自分が思う「あるべき姿」が確立されているせいで、「相手の事情を聴く耳」の弱いところがあります。「自分のしたいこと」がある一方で、「相手がしたいこと」など他人の事情に合わせられないのです。そういうアドバイスは相手にとって受け入れづらく、価値がないものになることも多くなってしまいます。
これは、私自身も経験したことですが、自分ではいろいろ事情を受けいれられる許容範囲に自信がありましたが、現場では「こんな考え方?」「こんなことすらも?」と思うことに何度も遭遇しました。自分が良かれと思っても相手は簡単には聞き入れない、場合によっては大きなお世話のアドバイスになってしまったことがありました。
コンサルタントの場合、自分がどんなに良いと信じたことでも、それを強引に押し付けたり権威で屈服させたりすることはできません。成果を上げるためには、その考え方や方法を相手に納得してもらうしかありません。
そこで強く意識するようになったのは、「相手が聞く気になるアドバイス」です。
以前ある会合で、プレゼンの発表者に対してベテランのコンサルタントが意見をする場面がありました。
「あなたは○○を知っていますか?」と始まり、発表者が「知らない」と答えると、「それではこの発表をするうえでの基本がない」と言います。その後アドバイスだと言って話したことは、中身は確かにその通りで間違いではありませんでしたが、少なくとも私は、その人のアドバイスを聞く気になれませんでした。
とても偉い先生かもしれませんが、私はその人の素性を知りませんし、上から一方的に話す姿勢が、相手を見下してバカにしているように見えてしまったからです。
企業を始め、他人にアドバイスができるだけの経験や知識を持っている人は、世の中にたくさんいるでしょう。ただ、「相手が聞く気になるアドバイス」を、誰に対してもできる人というのは、それほど多くはありません。私自身ももっと精進しなければなりません。
このコラムの執筆専門家

- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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