皆さんにとって、“通勤時間”というのは仕事時間にあたるのでしょうか? それともプライベートの時間でしょうか?
まぁ自由に使えるということでは自分の時間ですが、拘束されているということでは、限りなく仕事時間に近いという考え方もあるでしょう。
東京都心で勤務する人は、片道1時間程度の通勤であれば、どちらかといえば近い方ではないかと思いますが、これが地方都市に行くと、職住接近の度合いが全く違い、通勤1時間というと「ずいぶん遠いね」などと言われます。
通勤時間は、それをどう使うかによって、有意義なすきま時間にも、ただの移動時間にもなります。気持ちの切り替えの時間だったり、読書の時間にあてたり、片道2時間の通勤電車内で勉強して、難関の資格を取ったなんて言う人もいますから、本当に利用の仕方次第だと思います。
ただ、遠距離通勤の人と職住接近の人の様子を総合的に見比べると、私はやっぱり「職場は近いにこしたことがない」と思います。
まず、通勤もやはり仕事をするための拘束時間の一部ですから、片道30分の人と片道2時間の人とでは、毎日の拘束時間が3時間違います。1ヶ月で60時間以上になりますから、やはり相当な負担です。
さらに、「すきま時間として活用すればいい」とはいうものの、勉強や読書やちょっとの居眠りはできたとしても、寝転がって休める訳ではないし、食事ができる訳でもないし、全然座れないような満員電車では、ただ乗っているだけか、スマホでも眺めているのがせいぜいです。その間でできることには限りがあります。
最後に、これが一番感じることですが、やはり遠距離通勤の皆さんはお疲れの様子です。仕事の能率に良い影響があることはないでしょうし、もしも通勤時間がそのまま実際の仕事時間に置き換われば、仕事自体は早く進みますから、疲労感もずいぶんマシなのではないかと思います。
ネットサービス大手のサイバーエージェントでは、「2駅ルール」といって、会社がある場所から2駅以内の賃貸物件に住めば、家賃補助が月に3万円もらえるという制度があるそうです。
満員電車などの通勤ストレスから開放され、リフレッシュして働いて欲しいという想いからスタートした制度で、実は通勤交通費やタクシー代と比較すると、会社の費用負担はさほど変わらないのだそうです。
日本では、単位時間当たりの労働生産性が低いと言われますが、諸外国よりもかなり長い通勤時間を含めた拘束時間全体の長さが、働く人から活力を奪っていることにも一因があるという話を聞いたことがあります。、
労働時間削減策の中に、「職住接近」など通勤時間も含めた対策を考える会社がもう少し増えてくると、労働生産性にも良い影響が出てくるのではないかと思います。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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