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「彼は休まないで頑張っている」という評価に思うこと

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 私の思い・考え

 最近は働き方改革からの流れで、労働時間に関する注目、関心が高まっています。当初は主に残業時間をはじめとした長時間労働が意識の中心でしたが、その後は有給休暇の消化率など、休みやすさについても意見が出されるようになりました。

 私の親世代では、それこそ休暇をとらないことが当たり前で、以前直接聞いた時は「用事もないのに休んでどうする?」などといっていましたが、以前はそんな感覚の人が世の中の大半だったのでしょう。

 

 最近の様子を見ていると、「休暇は罪悪」のような発想は無くなり、それなりに有休消化はされているように見えますが、ある調査の結果を見ると、昨年はコロナ禍で世界的に取得日数が下がっているそうで、日本は消化率50%を切る45%、調査対象の16地域のうち14位という下位でした。他の調査でもおおむね似たような結果が多いようです。

 一部の大企業での休暇取得は進んでいても、それ以外の企業では依然として進んでいないということでしょう。

 

 以前お話を聞いた二人の社長は、休暇の捉え方について対照的な話をしていました。

 一人は「自分の頃は休みなど取らないのが当たり前だった」といい、「今の社員は休んでばかり」「休みたいならば迷惑をかけないように配慮をするのが当たり前」など、ほぼ苦言を述べていました。

 

 もう一人の社長は、その反対に「権利として認められているのだから、それは行使したいと思うのは当然」「誰か休んでも仕事が回るように体制を作っておけばよいだけのこと」「その方が優秀な社員が集まってくる」などと言います。

 この社長にもう少し話を聞くと、実は本人もかつては「休みは罪悪」という考え方を持っていたそうです。

 社長になっていろいろな場面に遭遇する中で、例えば社員採用の際に「どうせ辞めるかもしれないし、採れるときに多めに採用しよう」と余剰人員のつもりで採用したことところ、人員増に合わせて売上が伸びた経験が何度もあるそうです。

 また、ある大きなトラブルに見舞われたとき、たまたまその時期だけスケジュールが空いていた社員がいたおかげで、迅速に対応できて事なきを得たことがあったといいます。

 

 そんな経験から、人員には若干の余力を持った方が生産性は上がり、リスク管理も可能になると考えるようになり、そこから「組織として休暇などの自由度を増した方が、会社にとっても社員にとっても好ましく、さらに業績も上がるという三方良しになる」と考えるようになったそうです。

 

 一方、「休まないのが普通」という社長に、社員の休暇のせいで仕事上の支障が起こった経験があるのかを聞くと、特にそういう話は出てきません。実際に突発的でどうしようもない病欠や忌引であっても、それなりに問題なく対応しています。

 話を聞いていると、具体的に何か不都合があるというよりは、単に自分の価値観、職業観と相いれず、根本的な心情として「許しがたい」と思っているようです。世の中の流れとしては自分の本音を表沙汰には言えませんが、その価値観が何となく休みを取りづらい雰囲気を醸し出す結果となっています。

 

 休暇に否定的な思いを持つ人は、実際に何か困ったというよりは、「個人の都合で会社にしわ寄せがくるのは許せない」など、自分の職業観や価値観とのギャップが、その理由になっているようです。

 「簡単に休まれては困る」という考え方は、人員不足の中小企業では理解できる面もありますが、裏を返せばそれは何か予測できないトラブルに対応する余力がないということです。仕事が属人化していることであり、組織としてのリスク管理ができていないということになります。

 実際に、組織体制を作りながら、それに合わせて休暇取得を進めているような会社では、一方的に生産性が下がるような問題はほぼ起こっていません。

 また、退職間際の有休消化が問題になることがありますが、有休の繰り越しが「労働債権」の一種であることを理解していれば、できるだけ貯めずに消化させることが最善であることがわかります。権利を使わせずに社員への借りを作っている状態の方が問題です。

 

 これからはどんな企業も、「休みは罪悪」という価値観から離れて、休暇取得を前提とした組織マネジメントが必要です。個人的な価値観、職業観にこだわるのは、危険なことと言えるのではないでしょうか。

 

 

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