いろいろな論評がされており、中傷めいた記事もある中で一つだけ印象に残ったものがあります。それは「星野監督は育成型の監督なので、選手に情をかけ過ぎてしまった」というものです。
今まで中日でも阪神でも、失敗した選手にもチャンスを与え続け、情をかけて選手を育て、チームを作り上げていきました。でもそれは長いペナントレースだったからこそで、今回のような短期決戦では戦い方として適当ではなかったということでした。
会社で仕事をする中でもこれと同じことがあります。短期的に結果だけ出そうとすれば能力のある人、できる人に仕事を集中する方が効果的です。一方将来を考えれば、多少の失敗があっても経験させて育てることが必要です。短期と中長期の取り組みのバランスを取らなければなりません。またそのバランスは、その時々の状況によって変わります。(例えば切羽詰った仕事をできるかわからない新人に任せたりしないですよね。)
昨今の成果主義では個々が目先の成果を追う傾向が強まり、結果として個人主義を助長して人の育成がおろそかになってしまいました。その反省から最近は再度チームワーク、人材育成を重視する揺り戻しが起こっています。
「結果を求めること」と「人材育成」のバランスの難しさを改めて感じた出来事でした。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
組織が持っているムードは、社風、一体感など感覚的に表現されますが、その全ては人の気持ちに関わる事で、業績を左右する経営課題といえます。この視点から貴社の制度、採用、育成など人事の課題解決を専門的に支援し、強い組織作りと業績向上に貢献します。
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