日本の税金の高さから海外移住してしまう富裕層が増えております。
以前は一部の富裕層のみといった感じでしたが、最近ではごく普通の人までも海外移住してしまいます。
ただし、安易な移住は注意が必要です。
(1)節税メリット
例えば、香港やシンガポールの税制メリットが調教されがちですが、税法上の「居住者」と「非居住者」どちらに分類されるかで、天と地ほど税金が変わります。
日本の「居住者」と認定されれば、所得が生じた場所が国内か海外かを問わず、その所得に対して日本で税金を納める義務があります。
一方、「非居住者」と認定された場合も、日本国内で生じた所得(国内源泉所得)には日本で所得税を納める義務があります。
国内源泉所得とは、例えば、日本にある不動産を貸している場合や不動産を譲渡した場合などです。
従いまして、完全に移住しない限り(非居住者にならない限り)は、多くの税制メリットの恩恵は受けられませんが、非居住者となるためには国内の家族や住居の有無なども確認され、そのハードルは低く無いのは現状です。
(2)相続税はもっと大変
相続税についての租税回避はハードルがより厳しく、日本国籍を有する人は、「相続人」「被相続人」両方が5年以上継続して日本を離れた場合にのみ、国外に保有する財産については日本の相続税は課税されないというルールです。(贈与税の場合も同じです)。
それ以外の国内財産や、「相続人」「被相続人」の一方が日本に居住をしている場合は、海外財産も日本の相続税(贈与税)の課税対象になります。
このコラムの執筆専門家
- 大黒たかのり
- (東京都 / 税理士)
- 大手町会計事務所 代表税理士
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