不当労働行為審査手続(労働組合法の規定) - 労働問題・仕事の法律全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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不当労働行為審査手続(労働組合法の規定)

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不当労働行為審査手続

労働組合法

労働委員会の審査手続を開始する前に、労働組合法にいう正当な労働組合の要件(労働組合法2条、5条)を満たしているかを争うことが考えられる。
   
(強制権限)
第22条1項  労働委員会は、その事務を行うために必要があると認めたときは、使用者又はその団体、労働組合その他の関係者に対して、出頭、報告の提出若しくは必要な帳簿書類の提出を求め、又は委員若しくは労働委員会の職員(以下「職員」という。)に関係工場事業場に臨検し、業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
労働委員会の強制権限による報告義務等(第22条)に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは帳簿書類の提出をせず、又は同条の規定に違反して出頭をせず、若しくは同条の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、30万円以下の罰金に処する(30条)。法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第30条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても同条の刑を科する(31条)。

不当労働行為事件の審査手続
不当労働行為事件について、都道府県の地方労働委員会が審査をし救済命令等を発した場合、不服がある当事者は、中央労働委員会(東京都の1か所のみ)に再審査請求をし、中央労働委員会の命令が出た場合、不服がある当事者は行政訴訟である救済命令等取消訴訟を提起することができる。第1審は各都道府県の地方裁判所である。行政訴訟は三審制である。
使用者が救済命令等取消訴訟を提起した場合、労働委員会は緊急命令を申し立てて、使用者に暫定的に救済命令等にしたがうべき旨の命令を裁判所に発してもらうことができる。
使用者が救済命令等にしたがわない場合、罰則が適用される。
その間、労働委員会で和解をすることができる。
また、救済命令等について、不服を期間内に申立てなかった場合、救済命令等は確定する。

    第2節 不当労働行為事件の審査の手続
(不当労働行為事件の審査の開始)
第27条  労働委員会は、使用者が第7条の規定に違反した旨の申立てを受けたときは、遅滞なく調査を行い、必要があると認めたときは、当該申立てが理由があるかどうかについて審問を行わなければならない。この場合において、審問の手続においては、当該使用者及び申立人に対し、証拠を提出し、証人に反対尋問をする充分な機会が与えられなければならない。
2  労働委員会は、前項の申立てが、行為の日(継続する行為にあってはその終了した日)から1年を経過した事件に係るものであるときは、これを受けることができない。
(審査の計画)
第27条の6  労働委員会は、審問開始前に、当事者双方の意見を聴いて、審査の計画を定めなければならない。
2  前項の審査の計画においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
一  調査を行う手続において整理された争点及び証拠(その後の審査の手続における取調べが必要な証拠として整理されたものを含む。)
二  審問を行う期間及び回数並びに尋問する証人の数
三  救済命令等の交付の予定時期
3  労働委員会は、審査の現状その他の事情を考慮して必要があると認めるときは、当事者双方の意見を聴いて、審査の計画を変更することができる。
4  労働委員会及び当事者は、適正かつ迅速な審査の実現のため、審査の計画に基づいて審査が行われるよう努めなければならない。
(証拠調べ)
第27条の7第1項  労働委員会は、当事者の申立てにより又は職権で、調査を行う手続においては第2号に掲げる方法により、審問を行う手続においては次の各号に掲げる方法により証拠調べをすることができる。
一  事実の認定に必要な限度において、当事者又は証人に出頭を命じて陳述させること。
二  事件に関係のある帳簿書類その他の物件であって、当該物件によらなければ当該物件により認定すべき事実を認定することが困難となるおそれがあると認めるもの(以下「物件」という。)の所持者に対し、当該物件の提出を命じ、又は提出された物件を留め置くこと。
  正当な理由がないのに、第27条の7第1項第1号(第27条の17の規定により準用する場合を含む。)の規定による処分に違反して出頭せず、又は陳述をしない者(第32条の2第1号)、または、処分に違反して物件を提出しない者(2号)は、30万円以下の過料に処する。
第27条の7第2項  労働委員会は、第27条の7第1項第2号の規定により物件の提出を命ずる処分(以下「物件提出命令」という。)をするかどうかを決定するに当たっては、個人の秘密及び事業者の事業上の秘密の保護に配慮しなければならない。
3  労働委員会は、物件提出命令をする場合において、物件に提出を命ずる必要がないと認める部分又は前項の規定により配慮した結果提出を命ずることが適当でないと認める部分があるときは、その部分を除いて、提出を命ずることができる。
4  調査又は審問を行う手続に参与する使用者委員及び労働者委員は、労働委員会が第1項第1号の規定により当事者若しくは証人に出頭を命ずる処分(以下「証人等出頭命令」という。)又は物件提出命令をしようとする場合には、意見を述べることができる。
5  労働委員会は、職権で証拠調べをしたときは、その結果について、当事者の意見を聴かなければならない。
6  物件提出命令の申立ては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
一  物件の表示
二  物件の趣旨
三  物件の所持者
四  証明すべき事実
7  労働委員会は、物件提出命令をしようとする場合には、物件の所持者を審尋しなければならない。
8  労働委員会は、物件提出命令をする場合には、第6項各号(第3号を除く。)に掲げる事項を明らかにしなければならない。

第27条の8第1項  労働委員会が証人に陳述させるときは、その証人に宣誓をさせなければならない。
第27条の8第1項(第27条の17の規定により準用する場合を含む。)の規定により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、3月以上10年以下の懲役に処する(第28条の2)。
第27条の8第2項  労働委員会が当事者に陳述させるときは、その当事者に宣誓をさせることができる。
 第27条の8第2項(第27条の17の規定により準用する場合を含む。)の規定により宣誓した当事者が虚偽の陳述をしたときは、30万円以下の過料に処する(第32条の3)。

 正当な理由がないのに、第27条の8(第27条の17の規定により準用する場合を含む。)の規定による処分に違反して宣誓をしない者 は、30万円以下の過料に処する(第32条の2第3号)。
(不服の申立て)
第27条の10  都道府県労働委員会の証人等出頭命令又は物件提出命令(以下この条において「証人等出頭命令等」という。)を受けた者は、証人等出頭命令等について不服があるときは、証人等出頭命令等を受けた日から1週間以内(天災その他この期間内に審査の申立てをしなかったことについてやむを得ない理由があるときは、その理由が止んだ日の翌日から起算して1週間以内)に、その理由を記載した書面により、中央労働委員会に審査を申し立てることができる。
2  中央労働委員会は、前項の規定による審査の申立てを理由があると認めるときは、証人等出頭命令等の全部又は一部を取り消す。
3  中央労働委員会の証人等出頭命令等を受けた者は、証人等出頭命令等について不服があるときは、証人等出頭命令等を受けた日から1週間以内(天災その他この期間内に異議の申立てをしなかったことについてやむを得ない理由があるときは、その理由が止んだ日の翌日から起算して1週間以内)に、その理由を記載した書面により、中央労働委員会に異議を申し立てることができる。
4  中央労働委員会は、前項の規定による異議の申立てを理由があると認めるときは、証人等出頭命令等の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。
5  審査の申立て又は異議の申立ての審理は、書面による。
6  中央労働委員会は、職権で審査申立人又は異議申立人を審尋することができる。
(審問廷の秩序維持)
第27条の11  労働委員会は、審問を妨げる者に対し退廷を命じ、その他審問廷の秩序を維持するために必要な措置を執ることができる。
 第27条の11(第27条の17の規定により準用する場合を含む。)の規定による処分に違反して審問を妨げた者は、10万円以下の過料に処する(第32条の4)。
(救済命令等)
第27条の12  労働委員会は、事件が命令を発するのに熟したときは、事実の認定をし、この認定に基づいて、申立人の請求に係る救済の全部若しくは一部を認容し、又は申立てを棄却する命令(以下「救済命令等」という。)を発しなければならない。
2  調査又は審問を行う手続に参与する使用者委員及び労働者委員は、労働委員会が救済命令等を発しようとする場合は、意見を述べることができる。
3  第1項の事実の認定及び救済命令等は、書面によるものとし、その写しを使用者及び申立人に交付しなければならない。
4  救済命令等は、交付の日から効力を生ずる。
(救済命令等の確定)
第27条の13  使用者が救済命令等について第27条の19第1項の期間内に救済命令等取消訴訟を提起しないときは、救済命令等は、確定する。
2  使用者が確定した救済命令等に従わないときは、労働委員会は、使用者の住所地の地方裁判所にその旨を通知しなければならない。この通知は、労働組合及び労働者もすることができる。
(注)  使用者が第27条の13第1項(第27条の17の規定により準用する場合を含む。)の規定により確定した救済命令等に違反した場合は、50万円(当該命令が作為を命ずるものであるときは、その命令の日の翌日から起算して不履行の日数が5日を超える場合にはその超える日数一日につき10万円の割合で算定した金額を加えた金額)以下の過料に処する(32条後段)。
なお、救済命令の取消訴訟が提起され、救済命令等の全部又は一部が確定判決によって支持された場合に、救済命令等の違反に対する罰則は、1年以下の禁錮もしくは100万円以下の罰金(第28条)である。
使用者が救済命令等取消訴訟を提起した場合が28条であり、提起しなかった場合が32条後段である。

(和解)
第27条の14  労働委員会は、審査の途中において、いつでも、当事者に和解を勧めることができる。
2  救済命令等が確定するまでの間に当事者間で和解が成立し、当事者双方の申立てがあった場合において、労働委員会が当該和解の内容が当事者間の労働関係の正常な秩序を維持させ、又は確立させるため適当と認めるときは、審査の手続は終了する。
3  前項に規定する場合において、和解(前項の規定により労働委員会が適当と認めたものに限る。次項において同じ。)に係る事件について既に発せられている救済命令等は、その効力を失う。
4  労働委員会は、和解に金銭の一定額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を内容とする合意が含まれる場合は、当事者双方の申立てにより、当該合意について和解調書を作成することができる。
5  労働委員会の和解調書は、強制執行に関しては、民事執行法第22条第5号 に掲げる債務名義とみなされ、強制執行の手続について、労働組合法第27条の14第5項から8項で定められている。
(注)第27条の4により、裁判所で賃金請求事件など、または、救済命令等取消訴訟で、労使で和解する場合、労使間で救済命令等に関する取り決めをしておき、あらかじめ労働委員会の内諾を得ておく必要があり、和解条項にも盛り込む必要がある。
(再審査の申立て)
第27条の15  使用者は、都道府県労働委員会の救済命令等の交付を受けたときは、15日以内(天災その他この期間内に再審査の申立てをしなかったことについてやむを得ない理由があるときは、その理由が止んだ日の翌日から起算して1週間以内)に中央労働委員会に再審査の申立てをすることができる。ただし、再審査の申立ては、救済命令等の効力を停止せず、救済命令等は、中央労働委員会が第25条第2項の規定による再審査の結果、これを取り消し、又は変更したときは、その効力を失う。
2  前項の規定は、労働組合又は労働者が中央労働委員会に対して行う再審査の申立てについて準用する。
(再審査と訴訟との関係)
第27条の16  中央労働委員会は、救済命令等取消訴訟に基づく確定判決によって都道府県労働委員会の救済命令等の全部又は一部が支持されたときは、当該救済命令等について、再審査することができない。
(再審査の手続への準用)
第27条の17  第27条第1項、第27条の2から第27条の9まで、第27条の10第3項から第6項まで及び第27条の11から第27条の14までの規定は、中央労働委員会の再審査の手続について準用する。この場合において、第27条の2第1項第4号中「とき」とあるのは「とき又は事件について既に発せられている都道府県労働委員会の救済命令等に関与したとき」と読み替えるものとする。
    第3節 訴訟
(取消しの訴え)
第27条の19  使用者が都道府県労働委員会の救済命令等について中央労働委員会に再審査の申立てをしないとき、又は中央労働委員会が救済命令等を発したときは、使用者は、救済命令等の交付の日から30日以内に、救済命令等取消訴訟を提起することができる。この期間は、不変期間とする。
2  使用者は、第27条の15第1項の規定により中央労働委員会に再審査の申立てをしたときは、その申立てに対する中央労働委員会の救済命令等に対してのみ、取消訴訟を提起することができる。この訴えについては、行政事件訴訟法 第12条第3項 から第5項 までの規定は、適用しない。
3  前項の規定は、労働組合又は労働者が行政事件訴訟法 の定めるところにより提起する取消しの訴えについて準用する。
第28条  救済命令等の全部又は一部が確定判決によって支持された場合において、その違反があったときは、その行為をした者は、1年以下の禁錮若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(緊急命令)
第27条の20  使用者が裁判所に救済命令等取消訴訟を提起した場合において、受訴裁判所は、救済命令等を発した労働委員会の申立てにより、決定をもって、使用者に対し判決の確定に至るまで救済命令等の全部又は一部に従うべき旨を命じ、又は当事者の申立てにより、若しくは職権でこの決定を取り消し、若しくは変更することができる。
 使用者が裁判所の緊急命令(第27条の20)に違反したときは、50万円(当該命令が作為を命ずるものであるときは、その命令の日の翌日から起算して不履行の日数が5日を超える場合にはその超える日数一日につき10万円の割合で算定した金額を加えた金額)以下の過料に処する(32条前段)。

(証拠の申出の制限)
第27条の21  労働委員会が物件提出命令をしたにもかかわらず物件を提出しなかった者(審査の手続において当事者でなかった者を除く。)は、裁判所に対し、当該物件提出命令に係る物件により認定すべき事実を証明するためには、当該物件に係る証拠の申出をすることができない。ただし、物件を提出しなかったことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。
    第4節 雑則
(抗告訴訟の取扱い等)
第27条の23第1項  都道府県労働委員会は、その処分(行政事件訴訟法第3条第2項 に規定する処分をいい、第24条の2第4項の規定により公益委員がした処分及び同条第5項の規定により公益を代表する地方調整委員がした処分を含む。)に係る行政事件訴訟法第11条第1項 (同法第38条第1項 において準用する場合を含む。)の規定による都道府県を被告とする訴訟について、当該都道府県を代表する。
(費用弁償)
第27条の24  第22条第1項の規定により出頭を求められた者又は第27条の7第1項第1号(第27条の17の規定により準用する場合を含む。)の証人は、政令の定めるところにより、費用の弁償を受けることができる。

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