平成22年の税制改正で創設されたものの、
適用開始が先延ばしされてきた「非課税口座」(日本版ISA)が、
平成25年度の税制改正により、制度を大幅に拡充し、
平成26年1月1日から適用が開始されることになりました。
この非課税口座は、少額投資に対して運用益を非課税にするもので、
個人投資家の金融投資を後押しし、個人貯蓄の増加を期待して設けられた制度です。
平成26年から平成35年までの各年について、
証券会社等の金融機関に「非課税口座」を開設した場合には、
1年あたり100万円を上限として、その非課税口座を通じて購入した株式や投資信託については、
向こう5年間にわたり、その配当金・収益分配金及び売却益について、非課税とするものです。
この制度をフルに適用すると、平成35年までの10年間、投資元本500万円までは
その運用益に税金がかからないことになります。
この非課税規定の対象となる金融商品には、上場している株式や投資信託だけでなく、
上場してない公募証券投資信託も含まれます。
なお、一つの金融機関に対して、非課税口座は一つしか設けることはできません。
また、同一の非課税期間において、複数の口座を非課税にすることはできません。
つまり、各年に、一つの金融機関に、一つしか、非課税口座は開設できないということになります。
ところで、この非課税口座制度が設けられた背景には、上場株式等の軽減税率の廃止があります。
平成15年から10年以上にわたり、上場株式等の譲渡益と配当金に対する税率は
10%(所得税が7%、住民税が3%)でした。
これが、この非課税口座制度の開始と同時に、
20%(所得税15%、住民税5%)に引き上げられます。
つまり、これまでこの軽減税率の恩恵を受けるために上場株式等を保有していたとしても、
これからはその運用益について2倍の税金を払わなければならないということになります。
この軽減税率廃止による投資意欲の減退を考慮し、非課税制度が設けられたのですが、
非課税の枠は1年あたり100万円と少額であり、
ある程度大きな金額で投資をしていた個人投資家にとっては、
軽減税率の減税効果を超える効果は期待できないでしょう。
しかしながら、個人の貯蓄について、
預金から投資への移行を後押しするという意味では画期的なものであるといえます。
このコラムの執筆専門家
- 大黒たかのり
- (東京都 / 税理士)
- 大手町会計事務所 代表税理士
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