小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ組織の中で「感情的」が必要になること
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他人から「感情的だ」と言われたとしたら、それはあまり良い意味でないことがほとんどでしょう。
特に仕事の場面での「感情的」というのは、論理的、冷静、落ち着きの正反対の意味で使われ、感情を抑えて振る舞うのが良いこと、当然のこととされます。何があっても「感情的」にならないように心掛けている人が多いでしょうし、私も基本的な意識は同じです。
ただ、仕事の中からすべての感情を排除することはできません。あからさまに不快な態度で、周りを同じような気持ちにさせるのは好ましくありませんが、人間は感情の動物であり、好きなものは好き、嫌いなものは嫌い、嫌なものは嫌です。
人間は、表には出さなくても、自分の身の回りで起こったことや人間関係について、必ず何かしらの感情を持ちます。その感情は、自分にとって「快」か「不快」かを直感的に判断しているといわれ、もっともらしい理由をつけても、結局は後付けの理屈ということはよくあります。
組織のマネジメントや、チーム内でのリーダーシップが必要な場面で、この「感情」に配慮することは必須の要件です。相手の感情を無視して、理屈や理性だけで判断しても、効果的な組織運営はできません。
例えば、何かミスやトラブルが起こったとき、誰か一人だけの責任ということばかりではありません。みんなのミスや見落としがちょっとずつ重なったものだったとき、自分の責任を全否定まではしなくても、心のどこかに他の誰かを責めたくなる感情があるはずです。多くの人は、その感情を隠して「自分にも責任がある」「ミスはお互い様」などと言い聞かせて、論理的、理性的に振る舞おうとします。
もしもそこで、感情をあらわにして一方的に他人を責める人がいたとしたら、同じく感情的に許せないと反応してしまうでしょう。
ただ、このお互いの感情が事前にわかっていたとしたらどうでしょうか。不満な気持ち、申し訳ない気持ち、逃げたい気持ち、強がりたい気持ちなど、感情にはいろいろありますが、それを理性で抑えずに、あえてぶつけあって確認し合うと、その後の納得感は増します。相手の本音を知ったと思えるからです。
理屈っぽいきれい事だけでなく、様々な負の「感情」も含めてコントロールしなければ、良い組織運営はできません。
優秀な組織には、メンバーの気持ちを高めていく「モチベーター」が必要だと言われます。モチベーションの中には多くの感情が含まれ、この感情面からチームを盛り上げるリーダーがいます。これは「感情的」になることを、悪いものとして排除していては成り立たないことです。
「感情的」なのは悪いことばかりではありません。誰でも良くない感情は持つものであり、それを示して認識し合うことや、その気持ちに配慮することが必要です。
人は誰でも論理、筋道、正論だけでは納得できないことがたくさんあります。
もしもすべての問題が論理的、理性的に処理されて、「感情」が見えない職場があったとしたら、そちらの方がよほど問題だと思います。
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