小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ「センスがいい」だけで終わらせない
-
「センスがいい」とは、基本的に誉め言葉で使われます。
センスには、いろいろなスポーツでの「競技センス」、音楽や美術などでの「芸術センス」から、一般的な仕事の中で言われる「経営センス」「営業センス」「技術センス」といったものもあります。
「競技センス」などは、そもそもの体の作りや体力が違ったり、「芸術センス」ではその人固有の感性の違いであったり、他人では真似できない要素がたくさんあるので、それをセンスというしかありませんが、仕事で発揮する能力については、必ずしもそうとは言い切れません。
「あの社長は経営センスがある」「あの営業はセンスがない」など、仕事の結果の良しあしを、センスの一言で解決していることがありますが、気をつけなければならないのは、センスに理由を求めると、そこで思考停止に陥ってしまうことです。
何が良ければ「センスがいい」と言われるのか、反対に「センスがない」と言われるのはどんなことなのか、センスという言葉だけでは具体的なことがわかりません。
そもそも「センスがいい」と言われる本人さえも、なぜそう言われるのかをわかっていなかったりしますし、「センスが悪い」との指摘では、本人はなおさら何をどうすればよいのかがわかりません。
仕事の場合、その人でなければできない「センス」にかかわる要素は確かにありますが、成果の違いは決してそれだけではありません。
「コンピテンシー(成果行動)という言葉があり、これは好業績者の行動を分析して、それを真似することで成果につなげる方法です。
要はセンスがいいと言われる人の行動パターンと同じように行動すると、得られる結果も近いものになるということで、センスには真似できる部分があるということです。
ただ、「センスがいい」と言われる人は、概してそれを直観的にやっており、さらに行動パターンの組み合わせは多岐に渡っているため、これを他人に説明するのはなかなか難しいようです。
成果の良し悪しを「センス」と言って終わらせてしまう理由には、途中経過を「説明しづらい」ということも影響しているでしょう。「見て覚えろ」のような育成方法も、言葉で説明しづらいために、そうなっていることがあるでしょう。
誰にもまねできない「センス」としか言いようがないことがある一方、真似できるようなセンスもあります。
センスと言っていた中身を見ると、「当たり前のことをやっていたかどうか」「地道な継続をしていたかどうか」など、実はごく基本的なことだったケースは意外に多くあります。
「センスがいい」の一言で終わらせず、その中身を可視化、言語化していくことができれば、まだまだ伸びしろを見つけることができるはずです。
「社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集」のコラム
「管理職になりたくない」の気持ちを変えられるか(2024/03/20 21:03)
有名店の店主がいう「得する客」の話(2024/01/17 23:01)
「厳選採用」とは反対のやり方(2023/12/13 18:12)
身近には意外に少ない「ダメ出ししてくれる人」(2023/11/30 11:11)
「アットホームな会社」とは何なのか(2023/11/15 18:11)
このコラムに関連するサービス
【無料】250名以下の企業限定:社員ヒアリングによる組織診断
中小法人限定で当事者には気づきづらい組織課題を社員ヒアリングで診断。自社の組織改善に活かして下さい。
- 料金
- 無料
組織の課題は、当事者しかわからない事とともに、当事者であるために気づきづらい事があります。これまでの組織コンサルティングで、様々な組織課題とその改善プロセスにかかわった経験から、貴社社員へのヒアリング調査によって組織課題を明らかにし、その原因分析や対策をアドバイスします。予算がない、依頼先を見つけられないなど、社外への依頼が難しい中小法人限定です。社員ヒアリングのみで行う簡易診断になります。