小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ「キレる高齢男性」とコミュニケーション力
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先日乗っていた電車で、年配の男性が急に大声で怒り始めました。
自分の前の空いた席に、後ろから来た人が割り込んできたと言っているようですが、私が見ていたところでは、その男性は席が空いてもしばらく座らずにいたので、別の人が座っておかしくない状況でした。もめた二人は次の駅で降りましたが、怒り方がちょっと常軌を逸していて不愉快でした。
最近こういう人に接する回数が増えた気がしていますが、「キレる高齢男性」が増えた理由は何なのか、いろいろ考えてしまいます。老化に伴って脳の働きが衰えると、理性が働きにくくなるなどという話がありますし、高齢者の数が増えているせいで、そう感じるのかもしれません。
以前、同じことをテーマにした新聞記事を目にしたことがあります。
『増え続ける「キレるオヤジ」の理由』というタイトルで、そこで挙げられていたのは、「言語力の老化」というものでした。
記事によると、「定年などで引退した男性は、夫婦二人暮らしか単身生活者が多く、会話が格段に減って言語力が衰えるため、新たな人間関係を築けない」「コミュニケーション力が落ちた男性が孤立して、積年のストレスを暴発させてしまうのではないか」とあり、「他人と接してその人を説得するような会話の訓練をしていないと、議論というステップを踏まずにいきなり感情を爆発させてしまう」と書かれていました。
よく「口喧嘩では女性に勝てない」などと言いますが、これは男性のコミュニケーション力が女性よりも劣っているということで、だから男性は最後に怒鳴ったり暴力をふるったりしてしまうといわれます。
また私自身、自分のことは無口でも口べたでもないと思っていますが、それでも講演や研修でたくさんしゃべった翌日などは、あまり話さず黙っていたりします。たぶん単位時間当たりで話せる量の限度があって、それを超えると話さなくなるのだと思っています。
もちろんおしゃべりな男性もいますが、一般的には女性の方が会話の量や頻度は多そうですし、これが年令とともに衰えていくのだとすれば、特に男性は「思っていることが言葉にできない、伝えられない」ということが増える訳で、イライラしてキレやすくなるのもあり得るように思います。
キレる原因について書かれたものを見ていると、どれも必ず「孤立」というキーワードが出てきます。それはコミュニケーション力の低下も一因となっているのでしょう。
そうであれば、男性たちがたくさん話をしてコミュニケーション力を鍛えていけば、みんなキレずに済むのかもしれません。
私もそうならないように、できるだけ多くの人と会話しようと思います。
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