小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ「自分が面白い」と思える仕事
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少し前のことですが、成功者となった自分がもっとも尊敬、影響をうけた人物を語るというテレビ番組があり、そこで「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の作者である漫画家の秋本治さんが、2016年に逝去された同じ漫画家の望月三起也との話を紹介していました。
望月さんの作品に、戦場カメラマンを描いたものがあり、その中では戦場カメラマンが普通は使わないというカメラのブランドが描かれているそうです。初めて直接対面してそのことを尋ねたときの答えが、秋本さんにとってはとても大きな一言だったといいます。
その答えは「そりゃ、僕が好きだからだよ」だったそうで、「自分が面白いと思わないものなんか、書きたくないじゃない?」と言われ、それが自分の好きなものや面白いと思うものを書いていこうと考えるきっかけになったそうです。そんな理由で、秋本さんの作品には、ご自身の趣味に関わるものや興味のあるものが多数登場するそうです。
私が特に共感したのは、この「自分が面白いと思うもの」というところです。
私自身は自分の仕事に対して、もちろん大変なことや嫌なことはありますが、今はそれらも含めて「面白さ」を感じながらやっています。そう思うようになったのは会社を辞めて独立してからで、何が面白いかは明確には言えませんが、たぶん今の仕事内容や出会う人、ワークスタイルなどが自分には合っていて、いろいろな面で「面白い」と感じることがあったのだと思います。
ずいぶん前からずっとですが、「仕事が面白くない」「やりがいがない」という相談を受けることがあります。「辞めたいけど、辞めても良い方向になるかわからない」「転職は大変だし、うまく行くか自信がない」「そもそもやりがいのある仕事なんて思い浮かばない」などと言われます。
こういう人たちのほとんどは、「仕事はそんなものだと割り切って、当面は今の仕事を続ける」との結論になります。そういう結論になることはある程度理解できる一方で、「面白くないことを続けるのは大変だしつらいだろうな」とも思います。
「仕事はそもそも面白くないもの」「憂鬱だからこそ仕事」という話はありますが、ごく一部分でも面白いと思えることがあるならば、それに越したことはありません。
相談に来た人たちによく言うのは、「どんなに小さなことでも、何か仕事とつながる楽しみを見つけよう」ということです。直接の仕事上で見つけられれば良いですが、そうでなくても、例えば仕事帰りに毎日飲みに行くでも、好みの異性や友達と会えるでも、どんなことでも構いません。
仕事がつまらなそうな人があまりにも増えてしまうことは、決していいことではありません。しかし、そうは言っても、実際に面白さを見つけることも、なかなか難しいことかもしれません。
それでも、ほんの少しだけでよいから、仕事の面白さを見つけられると良いと思います。
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