小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ「納得」は理屈だけでないということ
-
リーダーやマネージャーという立場になると、必ずしも部下の意にそぐわないことでも、納得させて実行しなければならない場面に必ず遭遇すると思います。
中には「部下の納得なんて不要だ!」という方もいますが、それはちょっと除外して、その他多くのリーダー、マネージャーという方々は、そのことについて一生懸命論理的に説明し、理屈のつじつまが合っていることを基本にして、部下からの納得を得ようとすることが多いと思います。
しかしそれではなかなか納得につながらず、見切り発車で物事を進めてしまうこともあるでしょう。何とか少しでも納得してもらいたいという自身の思いとしては不本意でも、結果的には「部下の納得は不要」という人と同じことになってしまいます。
ここで思い起こして頂きたいのは、私があえて言うまでもなく、「人は理屈が合っていても納得するものではない」ということです。相手からの納得を得るためには、“言う人が誰なのか”、“その人はどんな人か”、“部下からどう見られているのか”、など、ロジックとは関係がない要素が多数含まれます。
例に挙げてみれば、
「遅刻を注意する人が遅刻の常習犯」
「ゴルフの教え魔なのに自分はヘタ」
「あれこれ仕切って自分はやらない」
「頼みごとなのに態度が横柄」 など、その他挙げればきりがないでしょう。
しかしこれらも、
「時間厳守の人に注意された遅刻」
「プロによるゴルフレッスン」
「率先垂範しながらの指示」
「謙虚な態度での頼みごと」 となれば、納得感は全く違います。
これは、ただ“率先垂範”や“背中で語る”ということではなく、“自分の弱みも開示する”、“相手の心情に寄り添う”、“相手の考えの本質を理解する”、などということも含めて、本人の過去の行動や接し方による“信頼感”が、相手からの納得を得るためには重要ということです。
“信頼感”がしっかり作られていると、仮に理屈は合っていなかったとしても、
「この人が言うなら大丈夫」
「この人の言葉なら信じよう」
「この人に頼まれたら断れない」 など、理屈を超えて納得されることがあります。
相手の納得を得るためには、論理性だけでは限界があり、逆に論理性は皆無でも、“信頼感”で納得を得られることがあるということです。
結局は日々の振る舞いの積み重ねですが、理屈よりも大事な物があるのだということだけは、忘れないようにしなければいけないと思います。
「社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集」のコラム
「管理職になりたくない」の気持ちを変えられるか(2024/03/20 21:03)
有名店の店主がいう「得する客」の話(2024/01/17 23:01)
「厳選採用」とは反対のやり方(2023/12/13 18:12)
身近には意外に少ない「ダメ出ししてくれる人」(2023/11/30 11:11)
「アットホームな会社」とは何なのか(2023/11/15 18:11)
このコラムに関連するサービス
【無料】250名以下の企業限定:社員ヒアリングによる組織診断
中小法人限定で当事者には気づきづらい組織課題を社員ヒアリングで診断。自社の組織改善に活かして下さい。
- 料金
- 無料
組織の課題は、当事者しかわからない事とともに、当事者であるために気づきづらい事があります。これまでの組織コンサルティングで、様々な組織課題とその改善プロセスにかかわった経験から、貴社社員へのヒアリング調査によって組織課題を明らかにし、その原因分析や対策をアドバイスします。予算がない、依頼先を見つけられないなど、社外への依頼が難しい中小法人限定です。社員ヒアリングのみで行う簡易診断になります。