小笠原 隆夫
オガサワラ タカオオフィス環境から見える社風や雰囲気
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久しぶりに一部上場企業のオフィスにうかがう機会がありました。
受付にはタッチパネルPCとつながった電話があって、訪問先を部署名でも内線番号でも個人名でも検索ができて、検索結果に直接内線が発信されるシステムでした。
今はそんなの当たり前と言われるかもしれませんが、私はここまでのものは初体験で、部署名や役職名などを忘れてしまっていても通じるので、よくできていると感心していました。
通されたのは普通に社員が使えるらしい応接でしたが、机も椅子も立派だし、上層階で眺めもいいしと、やっぱりオフィス環境への投資の仕方が違うなぁと思いました。
私もいろいろな会社におうかがいしますが、オフィス環境には経営者の考え方や社風が結構はっきり見えるものです。
業種によってもずいぶん違いますが、例えば社員が増えて伸び盛りのITベンチャーなどだと、デザインがおしゃれで開放的な作りだったり、逆にファッションに頓着がなく、赤ちょうちんが好きそうな社長さんの会社では、やっぱり地味で質素だったりします。体育会的な営業会社だと、なんとなく部活の部室みたいだし、クリエイティブワークの会社だと、仕事に関係ない遊び道具があったりします。
オフィス環境がどんな作りになっているかは、一つは社外の人からどう見えるか、もう一つは社員がどう感じるかを、それぞれどんな風に意識しているかによって、大きく差があるようです。
オフィス環境について私が考えているのは、決してお金をかけて豪華にしろということではなく、今ある環境や社内風景は、経営者と社員の総意でそうなっていることを認識すべきということです。
特に散らかっていたり、何となく雑然としているような会社は、やはり仕事の進め方もそうなっていることが多いです。
ある会社で応接に通されたとき、前の来客の茶器がそのまま置いてあったことがありました。イスがバラバラになっていたり、机が汚れていたりということもありました。
そしてそういう会社にお話をうかがうと、チームワークが良くない、お互い周りを気にしない、挨拶をしない、礼儀がなっていないなんていう話が必ず出てきます。組織風土がオフィス環境に表れているということです。
また、会社として欲しいと思う人材タイプがあったとして、もしもその人たちが好まないオフィス環境になっていたとしたら、採用活動にも悪影響があるでしょう。
組織風土改革の一つの方法として、オフィス環境を変えるということがあります。
机やイスが新しくなれば大事に使うようになるし、みんなの机が片付いていれば自分だけ書類を積み上げてはおけないし、応接の管理を徹底したら、後に使う人への気遣いをするようになるなど、まず形から変えることで、それによって人の行動が変わっていくということがあります。
オフィス環境は、経営者や社員を映し出す鏡のようなところがあります。あえてオフィス環境から先に変えてみることで、組織上の課題解決につながることがあると思います。
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