対象:労働問題・仕事の法律
給与及び手当て削減の問題について相談させてください。私は日本に本社があり本社採用で海外出向(赴任)で海外の工場で働いています。その海外工場の業績が悪く、最近の日本側の業績も悪い為、10年ぶりの海外工場で海外工場の赤字になりました。最近の出向先(海外工場)責任者より業績の悪化で給料(出向手当)を10%削減すると宣告され、会社の業績悪化を理由に説明を受けました。今年はじめ既に業績悪化傾向で55歳以上の海外出向者に対し人員削減対象とし日本人の人件費削減を会社全体として宣告し実施すると説明があったにもかかわらず、いろんな理由をつけて私の在籍する海外工場は実施をしませんでした。その状況で今年の業績が予測できたとたんに今回の給与削減の話が出てきて理由を説明されて入るのですが矛盾が多く、利益が回復したら給料カットも元に戻すという話なのですが信用できません。
削減理由としては○海外工場が潰れてしまえば日本の本社も倒産する○今期の業績悪化○海外貨幣のレート変化
○上記の内容も踏まえとにかく削減が必要○出向手当をカットする為給与削減ではないと説明それに対しての対策や方針は明確でなく先にも記載しましたように55歳以上の雇用についての対策などは一切実施されていません。更に話を良く聞くとどうも日本の本社では給与削減の話が出ていなく、グループ全体での話にもなっていないようで、工場側が自主的に削減するようにも取れます。日本の本社持続のために本当に給料カットしなくてはならないのであれば倒産を免れる為に仕方ないのかもしれませんが、まったくもって矛盾が多く同意できなく、こういった給料カットが違法ではないのか?
労働基準法は海外工場の出向者でも対象になるのか?
どのように会社と交渉を進めるのが良いのか相談に乗っていただきたくメールをいたしました。
TAKEZOさん ( 東京都 / 男性 / 42歳 )
回答:1件
会社の一方的都合で行うことはできない
まず、日本企業が海外出向や海外支店勤務など、海外に従業員を派遣した場合、日本の指揮命令が行使されますから、労働基準法の適用はあります。
次に給与カットについては、労働条件の不利益変更になりますので、会社側の一方的都合で行うことはできません。相応の合理的な理由と、労使の合意(労働組合などが無ければ従業員個々の同意)が必要になり、これがない一方的な労働条件の切り下げには法的根拠がなく、仮に会社が一方的に給与を減額した場合は、原則として賃金不払になります。
合理的理由とは例として以下の通りです。
(1)従業員が被る不利益の程度(不利益があっても軽微など)
(2)代替でなされた他の労働条件の改善状況(一方の不利益が、他方で配慮されているなど)
(3)変更の経営上の必要性(変更しなければ経営状態に重大な悪化を及ぼす場合など)
(4)労組や従業員との交渉経過(変更にあたって労使交渉があったかなど)
ご質問の場合は会社の経営不振が理由のようですが、合理的かどうかはこれまでの経緯や周辺事情も含めて総合判断されますので、給与カットそのものが即違法ということではありません。
最後に交渉の進め方ですが、給与カットに一度同意してしまうと、その後撤回するのは難しくなりますので、基本的には給与カットに同意せず、会社側の経営再生策の状況や、これまでの労使の話し合いの経緯などを会社側に確認するということになると思います。
確認した内容に納得できなければ、労基署などに相談するという方法もありますが、海外勤務だと簡単に相談はできないでしょうから、当面は自分たちで会社と交渉することになると思います。この場合の交渉は、一人でやるより労働組合などとして団体でやれば、会社側にも話し合いをしなければならない義務が生じ、こちらが強く主張することもできますので、できれば仲間を集めて会社と交渉することが良いと思います。
回答専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
組織が持っているムードは、社風、一体感など感覚的に表現されますが、その全ては人の気持ちに関わる事で、業績を左右する経営課題といえます。この視点から貴社の制度、採用、育成など人事の課題解決を専門的に支援し、強い組織作りと業績向上に貢献します。
小笠原 隆夫が提供する商品・サービス
【無料】250名以下の企業限定:社員ヒアリングによる組織診断
中小法人限定で当事者には気づきづらい組織課題を社員ヒアリングで診断。自社の組織改善に活かして下さい。
当事者では気づきづらい組織風土の問題をアドバイス。同テーマ商品の対面相談版です。
(現在のポイント:1pt)
このQ&Aに類似したQ&A
表示中のコンテンツに関連する専門家サービスランキング