国税の還付金の請求時効は5年です。
つまり、今現在からさかのぼって5年前の税金までは、
もし払い過ぎてしまっていたのであれば、還付を受ける権利があるということです。
しかし、払い過ぎた税金があっても、自動的に還付されることはありません。
納税者が自ら手続きをする必要があります。
例えば、数年前に数十万円の医療費を払っていたけれど、医療費控除を受けなかったという場合。
手続きは2つ考えられます。
まず、その年の所得税について、確定申告をする義務がなく、確定申告をしていない場合です。
給与所得者は、勤め先で年末調整を受け、
一年分の税金を勤め先を経由して適正に納めていますので、
確定申告をする義務がありません。
義務のない人でも、還付を受けるために確定申告をすることができるようになっています。
この場合の確定申告には期限がありませんので、
いつでも申告書を提出することができます。
ただし、還付金の請求時効は5年ですから、時効を迎える前に申告をしなければ意味がありません。
次に、その年の所得税について、すでに確定申告をしているという場合です。
この場合には、還付を受けるために、「更正の請求」という、
確定申告とは別の手続きをすることになります。
この「更正の請求」は、平成23年12月に規定が大幅に改正され、
従来は確定申告期限(翌年3月15日)の翌日から
1年間しかすることができなかったのですが、これが5年間に変更されました。
この改正は、所得税では、平成23年分以後の所得税について適用されるため、
平成23年分所得税の更正の請求の期限は、平成29年3月15日になりました。
しかし、平成22年分以前の所得税については、
改正前の更正の請求の期限である1年間になってしまいますので、
すでにその期限は過ぎてしまっています。
この不均衡を解消するために、実務運営上の特別措置として、
「更正の申出」という手続きがあります。
これは、当初の申告期限から3年間だけ、
更正の請求と同様の手続きをできるようにするというものです。
つまり、平成22年分の所得税であれば、平成26年3月15日まで、
平成21年分の所得税であれば、平成25年3月15日までに手続きをすれば、
還付を受けることができるようになっています。
しかし、この「更正の申出」という手続きには、法的な根拠がないため、
課税庁の判断によっては還付が認められないケースもあり、
さらに、その場合であっても、不服申立てはできないことになっています。
このコラムの執筆専門家
- 大黒たかのり
- (東京都 / 税理士)
- 大手町会計事務所 代表税理士
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