- 塚本 有紀
- フランス料理・製菓教室「アトリエ・イグレック」 主宰
- 大阪府
- 料理講師
対象:料理・クッキング
- 黄 惠子
- (料理講師)
ブイヤベース bouillabaisse
ブイヤベースはマルセイユのスープ仕立ての魚料理です。
使う魚は的鯛、かさご(がしら)、あんこう、穴子、ほうぼう、キス、ベラなどなど。
もともとは漁師料理から始まり、土地の料理人によって工夫されより豊かでおいしいものになったようですが、紀元はギリシャ時代までさかのぼれるのだそうです。語源は諸説あるようですが、「bouillir煮立つ」と「abaisser火を弱める」からきているそうで、つまり煮立ったら火を弱めるわけなので、いわゆる煮込み料理ではありません。
さっとひと煮で・・のイメージに反して、準備はけっこう大変です。
そもそもスタートはスペインのお土産にサフランと唐辛子を頂いたから。これをもっとも活かせる料理は? と考えたとき、久しぶりにブイヤベースを作ろうと思い立ったのです。
魚の頭を落とし、筒切りに。
サフランやにんにく、オリーヴ油でマリネにします。上にはどっさりとういきょう、セロリ、玉ねぎのスライスを。
魚の頭や野菜の切り落としを煮込んでブイヨンを取ります。
全部合わせてさっと煮たら、終了。
さてじつは2日目、ベラが見つかりませんでした。明石のあたりではバケツで売られているくらいメジャーらしいのですが、大阪ではそうそういつも見るわけではありません。というわけで、代わりの魚を何にしようかと黒門を歩いていたら、なんとヒメジを発見したのです。ふたたび、「キャー、やったあ!」と心の中で。ヒメジrougetはフランスではとてもメジャーな魚で、肌がきれいなピンクのものがあり、レストラン料理にもよく登場します。白身ですが、味わいがしっかりとしています。いつも使いたいなあと思いつつ、なかなか大阪には回ってこない模様。ものすごく珍しい魚というわけでもないはずですが、産地で消費されてしまうのか、港の魚屋さんとダイレクトに契約しているレストランくらいにしか行かないのか、あまり手に入らないのです。
授業ではいつも「フランスにはヒメジというきれいな魚がいて・・」と説明するのですが、今日はようやくみなさんに実物を見ていただけました。これは的鯛に続く、喜びです。
さて本題
ブイヤベースはまず先に魚のスープsoupe de poissonを供します。スープにはグリエにしたパンにルイユrouilleというジャガイモの入ったピリ辛のマヨネーズ状のソースをのせて、いただきます。にんにくがプンプン香ります。
その次にどん!と魚のお皿をだします。
マルセイユに行くと、旧港のあたりに専門店が軒を連ねる通りがあり、そこここからブイヤベースの香りが。真夏には外に机や椅子が並び、冷たく冷やした白ワインと一緒にもりもりと楽しく頂きます。
合わせるワインは、隣の港町カシCassisの白ワインきりりとしながらもまろやかで、ブイヤベースにとてもよく合います。「地元の料理と地元のワイン」は間違いのない組み合わせだとつくづく感心させられる思いです。
名前に反して、ブイヤベースは材料を準備するのも、料理するのもちょっと大変で、けっこう気合いがいります。でもやっただけのことはあるおいしさ。大きな達成感でした!
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