社会保障と税一体改革、徴収体制作業チーム中間報告 - 税務全般 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士

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対象:税務・確定申告

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社会保障と税一体改革、徴収体制作業チーム中間報告

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税制改正

社会保障と税 一体改革について、議論の進展が見えてきた。

昨日、税と社会保障料を徴収する体制の構築についての作業チームが

中間報告を発表し、2月から議論してきた内容が明らかにされた。

http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/5daijin/240427/siryou.pdf

 

この作業チームは、2月17日の閣議決定である「歳入庁の創設による、

税と社会保険料を徴収する体制の構築について直ちに本格的な作業に

着手する」ために、関係5閣僚の下に設置されたものだ。

                   

作業チームにおける検討に当たっては

・国民年金保険料等の納付率向上につながるか

<国民の年金に対する信頼回復の視点>
・社会保障行政・税務行政全般の効率性確保に資するか

<行政効率化の視点>

・今後導入が見込まれるマイナンバー制度、給付付き税額控除、

新年金制度等にとって相応しい体制か<新制度への対応の視点>

の3つの視点を踏まえている。

 

その結果として、今後の検討課題として次の5原則にまとめた。

・機能・制度と組織の一体的検討

・納付率向上等に向けた取り組みの強化

・行政の肥大化の回避

・国民の視点に立った検討

・情報共有・連携の強化

 

 

歳入庁を創設したとしても、国税庁と日本年金機構が合併しただけの

巨大官庁になるのでは意味がないわけですから、歳入庁を創設する前に

問題点を洗い出し、解決しておかなければならない問題なんですね。

 

例えば、別紙3(1)で検討される、国民年金保険料の免除対象者への対応は

弱者保護の観点、さらに言えば、民主党らしい政策の最たるところですが、

「本人からの申請が必要(申請主義)」としながらも、「申請主義の変更」も

視野に入れているようです。

その一方で、免除対象者でない未納者への対応では、現在、税法では

認められている租税債権の一般的優先権を「保険料にも優先徴収権を

付与するか」という問題も検討されているようです。

つまり、国民年金等の徴収に、税務署のやり方を導入する方向性です。

 

また、公務員制度改革との関係から問題になるのは、社会保険庁解体により

非公務員となった日本年金機構の職員の待遇です。

歳入庁は国の機関となることが予定されていますが、そうすると、

「組織再編に伴って公務員化するとした場合には、公務員人権費削減との

関係をどう整理するか」という問題も生じるというわけです。

さらには、近い将来の導入が検討されているマイナンバー制度や

給付付き税額控除制度とも整合性を取らなければならないため、

検討すべき問題は山積しています。

 

昨年、セミナーDVDの収録で、(株)ブレインマークス安東社長、

コーチジャパンヤマザキの山﨑社労士と、歳入庁構想をテーマに議論させて

頂きましたが、まだまだ越えなければならない課題が多いことを実感する

とともに、対岸の火事では済まされない時期が近づいてきたと感じています。

 

先が見通せるわけではありませんが、先を見越した準備が肝要なんですね。

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