ある企業で、自分たちの組織の課題を挙げ、その解決策を考えて行こうというワークをやっています。マネージャーから中堅層の方々が対象です。その中でのお話です。
同じ階層の人たちで組織の課題を話すとなると、どうしてもグチ的な発言は出てきます。経営者へのグチ、上司へのグチ、部下へのグチ、顧客へのグチ、仕事内容のグチ、自分のつらい立場へのグチ・・・・。やり玉に挙げられる人にとってはうれしくないでしょうが、こういうものはあって当然で、お互い本音で話し合って、感情も含めて理解し合うということは、本質的な解決策を探すためには決して悪い事ではありません。
ただ、管理者レベルの方々を対象にすると、みんな大人で自分たちの立場をわきまえているので、こういう話を自己規制する傾向があります。しきりに「その話は建設的でない」とか「もっと前向きに話そう」とおっしゃいます。要は「管理者が後ろ向きな話をしていては、周囲に示しがつかない」ということでしょう。
管理者の方々は、自分の考えや気持ちとは違っていても、上司の意向や組織の決定に合わせて行動するということが、日常的に習慣づいています。個人的な感情は抑えて理性的に行動しようとします。すばらしい心掛けであることに違いありませんが、ガマンしていることも間違いありません。
今回のワークでは、グランドルールとして“建設的に発言をする”という項目はあるのですが、私からは「最終的な伝え方は考える必要があるけど、後ろ向きでも批判的でも、出てきた話はきちんと取り上げましょう」とお伝えしました。そうすると少しずつですが、自分の感情的な葛藤も含めた話が出て来るようになり、終了時には「本音で話ができた」という感想を頂きました。いつも会議や打ち合わせで顔を合わせ、たくさん話し合っているはずのメンバーなのに・・・です。
自分のことも顧みて思うのですが、人間が前向きな気持ちになるためには、溜め込んでいる不平不満は吐き出さなければ、やっぱり難しいと思います。良く言われる「ガス抜き」です。
経営者の方から「うちの管理職は動きが悪い」というお話を聞くことがありますが、溜め込んでいる物が大きいほどそうなってしまうということもあります。
もしも会社の中で「前向きでない」と感じることが多いとしたら、何らかのガス抜きが必要ということかもしれません。私たちの立場では、そんなお手伝いもお役目の一つと思っています。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
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