- 塚本 有紀
- フランス料理・製菓教室「アトリエ・イグレック」 主宰
- 大阪府
- 料理講師
対象:料理・クッキング
- 黄 惠子
- (料理講師)
3月21日~24日
製菓連続講座にて
今月はようやくクロワッサン講座です。2月にするつもりがあまりに寒くて発酵に時間がかかりすぎたため、3月にすることにしました。
生地にバターを包み、3つ折りを3回。
ぎゅうぎゅう伸ばし(伸ばしても伸ばしても、憎たらしいことに、戻ってくるのです)、二等辺三角形に分割します。
くるんくるんと巻き上げます。上の部分がはじかないように、巻き終わりは下に。
1時間半ほど発酵させて焼くこと20分。
クロワッサンcroissantとパン・オ・ショコラpain au chocolat
クロワッサンは三日月という意味(正確にはcroissant de lune)です。
そもそもの由来は1683年にオスマントルコ軍に包囲されたウイーンのこと。急襲するために夜中に城壁にトンネルを掘っていたトルコ軍の物音を聞きつけたのが、夜中も働くパン屋さん。
このことでウイーンは陥落を免れました。そこでお手柄のパン屋さんには、トルコ軍の旗印である三日月の形(今もトルコの国旗には三日月が)をしたパンを売る特権が王様より与えられました。
「うっふっふ、敵軍の旗印を食べて勝利を実感!」ということです。同時にトルコ軍よりぶんどったコーヒー豆でコーヒーを淹れ、三日月のパンと一緒に食べることもウイーンで大流行したのだそうです。
ただしこの時はクロワッサンはまだただのパンで、折り込み生地ではありません。
1770年にオーストリーの皇女であるマリー・アントワネットがルイ16世に嫁ぐためにフランスに輿入れし、クロワッサンがやってきます。
現在の折り込み発酵生地になったのは、ようやく1920年パリの職人の手によるものなのだそう。
(発祥と言われるパン屋さんがパリにあったのですが、今はもうありません。私は見ることができませんでした。残念!)
フランスでは暗黙の了解事項として、バターだけで折ったクロワッサンcroissant pur beurreはまっすぐ、マーガリン混合croissant ordinaireは三日月型ということになっています。
もちろんバターだけで折っているので、私もまっすぐに焼き上げています。でも名前からしたら、本当はヘンです。
人それぞれ好みがあると思いますが、私はちょっと甘めで、口に入れた瞬間、はらっ、こそっと外側が崩れ落ち、内層はしっとり塗れた布地のようなクロワッサンが好みです。
だから甘くないクロワッサンや、ぱりっぱりっのタイプがお好きな方には申し訳ないと思いつつ、私好みの味わいのクロワッサンに仕立てました。
クロワッサンはヴィエノワズリーviennoiserieと呼ばれるお菓子パンの一種です。Vienne(フランス語でウイーンのこと)から来たもの、という意味です。
伝統的に他にはパン・オ・ショコラpain au chocolatやブリオッシュbrioche、パン・オ・レザンpain au arisants(渦巻きのレーズンパン)、牛乳でこねたパン・オ・レpain au laitなどがあげられます。
そういえばパン・オ・ショコラに入れて焼いたヴァローナのバトン4本はほどよく苦い味に変身し、(細すぎて使いにくいことをのぞけば)やっぱりおいしいものでした。
ところでフランスの子供のおやつはクロワッサンの板チョコばさみ! クロワッサンとチョコが食べたいなら、パン・オ・ショコラを食べたらいいじゃないか、と思いませんか。
でもやってみるとじつは意外にけっこうおいしいものなのです。明らかに別物。お試しあれ。
授業の続きはまた後日。
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