- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
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対象:事業再生と承継・M&A
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(3)不動産
ア 処分行為
不動産については,相続分に従った共有状態になります(民法898条)。そして,共有物となった不動産を処分する行為(売却や抵当権設定など)には,共有者全員の同意が必要になります(民法251条)。
ただし,共有物そのものの処分ではなく,各相続人が有する共有持分については,各相続人が自由に処分することができます(最判昭和38・2・22民集17巻1号235頁)。
イ 管理行為
管理行為(賃貸借契約の締結・解除等)については,各共有者の持分の価格に従って,その過半数で決定することができます(民法252条本文)。
相続財産の管理に要する費用は,「相続財産に関する費用」として相続財産から支弁するものとされています(民法885条1項)。
ウ 保存行為
保存行為(家屋の修繕や税金の納入等)については,各共有者が単独ですることができます(民法252条但書)。
エ 会社の事業用不動産の場合
【事例】のように,被相続人甲が会社に土地を賃貸していて,会社の事業用資産になっている場合には,その不動産は相続人の共有不動産となります。したがって,その管理行為については,持分の過半数により決せられます。後継者がその持分の過半数を取得できるような状態での共有であれば,問題は生じにくいですが,【事例】のように後継者である長男丙が1/4の持分しか取得できないと,次男丁が被相続人の妻乙と手を組み,土地の賃貸借契約を解除されたくなければ,自己の共有持分を買い取るよう,後継者である長男丙に迫ってくることも予想されます。
そこで,被相続人は,遺言を利用することによって(相続分の指定,遺贈,遺産分割方法の指定等),会社の事業用不動産が安定的に利用できる状態を保つ必要があるのです。
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