こんにちは、東京港区の公認会計士 森 滋昭です。
この第1四半期に、3月決算の上場会社のうち”36社”が、減価償却方法を定率法から定額法に変更したそうです。
これは、IFRSでは原則的に、定率法が認められていないためです。
確かに建物や機械は、毎年同じ程度減耗していくのでしょうから、理論的には当初償却費が大きくなる定率法は合理的ではありません。
しかし、日本の税務上、定率法の方が税務メリットを早い段階で享受できます。
今の日本で定額法に変更すれば、税務上このような場合に、“益金減算”という税務調整が認められていない以上、定率法と比べると、企業にとっては負担となります。
IFRS導入というと、導入にあたって社内体制の構築やコンサルティングといったコストが指摘されますが、税務メリットを享受できなくなるのも、一種のIFRS導入コストと言えます。
特に、多額の設備投資を行うメーカーなどにとっては、一番大きなコストとなります。
あずさ監査法人のアンケートでは、38%の会社が定額法への変更を検討しているそうです。
特に売上の大きい会社ほど変更を検討しているそうですが、IFRSはグループ会社で会計方針を統一しなければならず、その影響は大きいのではないでしょうか。
投資意思決定に際しては、税金もコストとして計算するので、定額法に変更すれば、それだけ投資の回収が遅くなり、新たな設備投資にも影響するかもしれませんね。
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このコラムの執筆専門家
- 森 滋昭
- (東京都 / 公認会計士・税理士)
- 森公認会計士事務所 公認会計士・税理士
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