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平 仁
ABC税理士法人 税理士
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23年度税制改正大綱(3、税務調査、更正請求、理由付記)

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税制改正 平成23年度税制改正

今日は、税務調査手続、更正の請求、理由付記という手続法上における

歓迎すべき改革を紹介しましょう。

               

1.納税環境整備

(3)税務調査手続

「調査手続の透明性及び納税者の予見可能性を高め、調査に当たって納税者

の協力を促すことで、より円滑かつ効果的な調査の実施と、申告納税制度の

一層の充実・発展に資する観点から、税務調査に先立ち、課税庁が原則として

事前通知を行うことを法律上明確化します。ただし、悪質な納税者の

課税逃れを助長することのないよう、課税の公平確保の観点を踏まえ、

一定の場合には事前通知を行わないこととします。」

 

(4)更正の請求

「納税者が申告税額の減額を求めることができる「更正の請求」については、

法定外の手続により非公式に課税庁に対して税額の減額変更を求める

「嘆願」という実務慣行を解消するとともに、納税者の救済と課税の適正化

のバランス、制度の簡素化を図る観点から、更正の請求を行うことができる

期間(現行1年)を5年に延長し、併せて、課税庁が増額更正できる期間

(現行3年のもの)を5年に延長します。」

 

(5)理由附記

「処分の適正化と納税者の予見可能性の確保の観点から、全ての処分に

ついて、理由附記を実施します。ただし、個人の白色申告者に対する

更正等に係る理由附記については、記帳・帳簿等保存義務の拡大と併せて

実施することとします。」

 

 

更正の請求の期間が1年から5年に延長されることは何よりも歓迎すべき

英断であったと思います。従来は法定申告期限から1年内でしか許されず、

その後に行われた処分や判決等によって課税関係が変更された場合に限り

それを知った日から2ヶ月内で後発的理由による更正の請求が許される

に過ぎないので(通則法32条)、嘆願書によるしかなかったんですね。

 

税務調査についても事前通知を原則としたことも歓迎すべきです。

税理士法が税理士の調査立会権を認めているのに(税理士法34条)、

事前連絡なくいきなり調査に来られてしまうと、仕事の調整がつかず、

調査立会ができなくなるケースもあり得るんですよね。例えば、本坊事件

(大阪高裁平成17年3月29日判決)は、神戸の税理士が熊本の税務調査に

立ち会えず、顧問契約を解除されたことに対する国家賠償請求事件ですが、

事前通知があれば、日程調整が図れていたはずでした。

 

理由附記については、痛し痒しですかね。私は月刊税務事例42巻7号記載の

論文でも書いたように、記帳義務は商法・会社法が求める前提だ、という

ところから、理由附記とのセットで要求された記帳義務の強化を主張して

いますが、実務的には厳しい改正です。ただ、理由附記が義務化されたことで、

無理な課税が減るのではないかと期待しております。

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