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平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
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税制調査会 23年改正へ再始動(4,納税環境整備に関する論点整理)

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税制改正 平成23年度税制改正

6日の税調に提出された資料に、9月14日に納税環境整備小委員会における

議論を踏まえて専門家委員会が公表した「納税環境整備に関する論点整理」

がありますが、ここでは次のことが検討されていました。

 

1 納税者権利憲章(仮称)の制定

2 国税不服審判所の改革

3 納税者番号制度

 

納税者権利憲章については、早急に制定すべきという点では意見は一致するが、

納税環境の整備に当っては、納税者の権利保護と課税の公平との適切な

バランスを図ることが重要である、との意見が多いという。また、OECDの

「納税者の権利と義務」プラクティスノートにおいても、納税者の権利と

並んで義務が記載されていること、記帳や帳簿等保存義務は全ての根本である

こと、等の意見が出ていたようです。

税務調査手続について、諸外国では調査手続について法律が整備されている

一方で、文書提出命令など、調査に協力的でない納税者に対する権限行使が

認められていること、事前通知について、証拠隠滅等を図るおそれがある

場合を除外することが困難であること、等の意見が出ている。

課税処分に対する理由付記について、原則として全ての課税処分に理由付記

を行うべき、零細な事業者について記帳義務化は困難であり、記帳の程度を

勘案すべき、との意見が出ています。

更正の請求の期間については、基本的に、増額更正・減額更正の期間と一致

させるべきとの意見で一致したという。

 

審判所の改革については、現行の国税の不服申立手続について、審理の

公平性・中立性を高める観点から、現行の不服申立期間(2か月)を延長

すべき点、証拠書類の閲覧・謄写の範囲を拡大すべき点、国税審判官に

実務家・専門家の登用を拡充すべき点で意見が一致したという。

 

納税者番号については、社会保障の充実・効率化等の国民に対して目に見える

メリットが認められ、かつ、プライバシー保護にも十分な配慮がなされるとの

前提の下で、導入すべきとの意見が一致したという。

また、課税の適正化や、社会保障制度の充実・効率化のためには所得捕捉の

制度を向上させることが必要であり、そのためには、現行の法定調書の

範囲の拡大が必要である、という点でも意見が一致している。

 

昨夏の衆院選マニフェストでも、納税者権利憲章の創設や、更正請求期間

の延長(1年から3年へ)等が記載されていましたから、早期に改正される

ことが望まれるところです。

特に、更正請求については、現行が法定申告期限1年内ですので、例えば、

法定申告期限が税務署閉庁日の土日に当たる場合、申告・納税の期限は

休み明けの月曜日とされているところ、更正請求については休み前の金曜日

ですから、申告と同時ですと、受けつけて頂けない。

私は、嘆願書を添付して還付して頂いたことがありますが、国税通則法が

税理士試験の試験科目ではないために、きちんと勉強していない税理士も

いらっしゃるようですから、今回の改正は是非とも実現して頂きたいですね。

不服申立期間についても、現行の「知った日から2カ月内」では、あまりに

短いだけではなく、年イチのクライアントの場合、不服申立期間を超えて

しまってから相談される可能性が高く、権利救済の道が閉ざされてしまう。

願わくば、1年以上の期間に改正して頂きたいところですね。

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