しかしこれらがなぜ起こるのかを考えてみると、情報を受け止めるための前提となる情報をきちんと伝えていないためということに気づきます。一度嘘をつくと辻褄を合わせるために、更に嘘をつかなければならなくなることに似ています。
私がかつて在籍していた会社では、一時かなりの業績悪化に見舞われて賞与の大幅削減を説明しなければならなかった時、経営者自身が直接、数字的な背景も含めてありのままの状況を順序だてて話して協力を仰いでいったところ、大半の社員が思いのほか冷静で前向きに対処していたことが印象に残ったという経験があります。話す態度なども含めてきちんと情報を与えると、仮にネガティブな情報であっても受け取る側はたいがい客観的に受け止められるという一例だと思います。
相手が“受け止められない”原因の多くは伝える側の問題といえます。無用な情報制御や隠蔽、事実と私見の混同、理解を深める姿勢や態度の欠如など。
伝える難しさの解決も、結局はきちんと伝えるということから始まるのだと思います。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
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