- 平 仁
- ABC税理士法人 税理士
- 東京都
- 税理士
対象:税務・確定申告
- 近江 清秀
- (税理士)
- 平 仁
- (税理士)
税制調査会のHP上に2日、各省庁の税制改正要望が掲載された。
平成23年度の税制改正要望が出揃ったことで、いよいよ本格的な税制改正
論議に入りたいところであるが、民主党代表選が水を差す形になっている。
昨今の円高株安の是正が思うようにいっておらず、税制改正論議を起爆剤に
したいところではないだろうか。
中小企業のサポーターたる税理士にとっては、経済産業省の改正要望が
気になるところだろう。
平成23年度の最大のポイントは、法人実効税率の5%引き下げであろう。
わが国の法人実効税率はアメリカやフランスを比較対象にして考えると
決して高すぎるわけではないのだが、アジアという経済立地を考えると、
あまりにも高すぎると言わざるを得ない。
法人実効税率20%台のアジア諸国、特に中国、韓国が製品品質の向上を
図り続けてきた結果、高付加価値商材以外の商材におけるわが国製品の
価格競争力は失われ、昨今のデフレ傾向も相まって、低付加価値商材を
提供し続けてきた下請け中小企業は壊滅的な打撃を受けてしまっている。
産業構造の変革に伴い、人材の流動性が高まっているのも事実ではあるが、
産業間の人材移動が起きているとは言い難く、慢性的な人材不足の業界と
デフレの影響をまともに受けている業界とに二極化し、格差が拡大して
きているような気もしますね。
それだけに、法人実行税率、中小軽減税率の引き下げは実現を期待したい。
また、経済成長及び雇用確保を実現するための産業競争力の強化として、
日本のアジア拠点化を推進するための税制優遇制度を要望している。
日本企業の海外流出の例として、日産自動車が主力車種であるマーチの
生産拠点を法人税率を10%に引き下げたタイに移転したこと、シャープが
液晶パネル・テレビの設計開発センターを、ハイテク企業への法人税率を
25%から15%に引き下げる中国に設立したこと、スーパーコンピュータの
開発において、富士通が、法人税率17%で投資減税等の支援が充実する
シンガポールの科学技術庁と共同開発に踏み切ったこと、等が挙げられ、
「法人税を含めたビジネスコストが高く、研究開発拠点等の海外流出の動きが
顕在化」してきたとして、法人税減税を軸に研究開発税制の拡充を求めている。
世界経済がグローバル化し、日本が独自性の殻の中に閉じこもることが
許されない時代の波は、税制のグローバル化にもつながっているようだ。
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