(1)3,000万円特別控除
マイホームを売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から3,000万円まで控除ができる特例があります。
これを、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例といいます。
(2)譲渡所得の計算方法
譲渡所得は、次の算式により計算します。
譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額(一定の場合)=譲渡所得金額
譲渡価額 |
取得費 |
商売にたとえると譲渡価額は売上で、取得費は仕入に相当します。 具体的には売った土地や建物を買い入れたときの購入代金(建物は減価償却費相当額を控除します。)や仲介手数料などの合計額です。 実際の取得費の金額が譲渡価額の5%に満たない場合は、譲渡価額の5%相当額を取得費として計算することができます。 |
譲渡費用 |
売却に関連して直接に要した費用です。 具体的には、仲介手数料、測量費など土地や建物を売るために直接要した費用、貸家の売却に際して支払った立退料、建物を取壊して土地を売ったときの取壊し費用などです。 |
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特別控除 |
税法上、一定の要件に当てはまると適用されます。 具体的には、居住用財産の3,000万円特別控除など |
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譲渡所得金額 |
(3)主な適用要件
●自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその土地や借地権を売ること。
土地や借地権だけの譲渡は原則ダメ。
なお、以前に住んでいた家屋や土地等の場合には、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。
●売った年の前年及び前々年にこの3,000万円特別控除又はマイホームの買換えやマイホームの交換の特例若しくは、マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。
●売手と買手の関係が、親子や夫婦など特別な間柄でないこと。
特別な間柄とはこのほか生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。
(4)税率もおトク
もし、譲渡所得金額から3,000万円を控除してもなお利益がある場合は、通常の場合よりも低い税率で計算する軽減税率の特例を受けることができます。
マイホームを売ったときの税率
譲渡所得金額 |
税額 |
6,000万円以下の部分 |
14% |
6,000万円超の部分 |
20% |
この優遇税率を受けるためには、上記の要件のほかに下記の要件も必要となります。
日本国内にあるマイホームで売った年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること。
(5)別荘はダメ
この制度は、マイホームを売却した場合にだけ、適用がありますので別荘は適用除外です。
(6)手続き
この特例を受けるためには、売却した翌年3月15日までに確定申告をすることが必要です。
確定申告書の主な添付書類
・譲渡所得の内訳書
・マイホームを売った日から2か月を経過した後に交付を受けた除票住民票の写し又は住民票の写し
このコラムの執筆専門家
- 大黒たかのり
- (東京都 / 税理士)
- 大手町会計事務所 代表税理士
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