- 小川 正毅
- ありのみ株式会社 代表取締役 ホルン奏者・音楽プロデューサー
- 東京都
- 音楽家・プロデューサー
-
090-9306-2356
対象:楽器レッスン
~小学校・中学校・高校・特別支援学校の「やる気」がある先生方向け~
「文化庁の事業を利用して、お金をかけずに音楽室で“風の五重奏団”(プロの木管五重奏団)の演奏を楽しむ方法」
第8回:(2)どういう内容なの?~その6~
(おまけ:拍手のお話)
今回は“風の五重奏団”が、この事業(文化庁:文化芸術による子供の育成事業~芸術家の派遣事業)で
使用しているプログラムに関係した“おまけ”として「拍手」についてのお話をお届けします。
おまけですが、演奏を楽しんでいただくにあたり大切にしていること、といった意味を含んでいます。
「拍手」は、色々な場面で自然に起こっているように思いますが、
同じ音楽でもクラシックのコンサートとロックのコンサートでは違うでしょうし、
コンサートとオペラ、ミュージカル、バレエではやはり微妙に違います。
例えばオペラでは「アリア」という、それぞれの歌手の見せ場の曲が終わったところで遠慮なく拍手をしますし、
ミュージカルでもやはり「アリア」に相当する曲が終わったところで拍手をします。
またバレエでは、それぞれの踊り(曲)が終わったところだけでなく、
「パ・ド・ドゥ」といって、主役の男女二人の踊りが終わったところ、
更に「ヴァリエーション」といって、主役の男女それぞれの踊りが終わったところ、
ヴァリエーションのあとに再度、主役の男女二人が踊る「コーダ」が終わったところなど、
やはり「見せ場」のあとは拍手をする、という感じです。
オーケストラピットの中で演奏していると、拍手の様子を見て指揮者が次の曲をスタートさせるので、
公演内容を熟知しているお客様が多い公演ほど盛り上がっていくことがよくわかります。
それから「見せ場」の曲が始まった時に拍手が起きることもありますね。
これは、かなり内容に詳しいお客様ですね。
さて、色々あるのはよしとして、せっかく音楽を楽しんでいただいているので、とりあえず、
たまたまクラシックのコンサートが嫌いになってしまう危険性がある2つの拍手の習慣について書いてみましょう。
舞台芸術だけでなく、スポーツなどについても同じことが言えると思いますが、
ほんのちょっとしたことを知っているだけで何倍も楽しめる、ということがありますよね。
このお話は、曲目のご紹介(ニールセン「五重奏曲」)でも少しいたしました。
ご存じの方には失礼かと思いますが、その、ちょっとしたことの中の小さな2点と思って、
以下を読んでいただければ幸いです。
1)カーテンコール
特に、当日演奏される「最後の曲」が終わってからの拍手。
別に決まっている訳ではありませんが、演奏者が袖(観客から見えない場所)に引き上げてからも、
しばらく拍手をすることが多いです。演奏者は拍手に応える形で、また出てきます。
これを数回繰り返し、準備をしてあれば、アンコール曲を演奏することが多いです。
きっと貴族の前で演奏していた頃からの習慣なのだろうと思います。
この習慣は、大人であればご存じの方が多いかと思いますが、
例えば小学3年生にとっては「あれ~また出てきた~あはははは」「なんでまたでてきたの~?」
という感じのようですね。
なので、最後の曲を演奏する前に
「今日はわざとで良いので、次の曲が終わったらながーく、しつこく拍手をお願いしまーす」と
お願いしておき、曲が終わったら可能な限り実際に一度、音楽室の外に退場します。
そして再度入ってきてアンコール曲を演奏する前に、この習慣について少しだけご説明しています。
「ミュージカル観に行った時に、何度も幕があいて、みんなでお辞儀してた」
「そうそう、それと同じことだよね」
「オペラカーテンっていう、1秒くらいであけしめできる幕があるんだよ。だからカーテンコールって言うのかもしれないよね」
「ふーん」
こんな会話が交わされたりします。
よぉし、これでどんなコンサートに行っても大丈夫。こんな気持ちになってもらえたら良いな、
と思っています。
2)楽章と楽章の間
例えば「ジャジャジャジャーン」で有名なベートーヴェンの交響曲第5番(日本では「運命」として有名)
の場合、4つの「楽章」(曲)に分かれています。
ただこの曲は、第3楽章と第4楽章は続けて演奏されるので3曲に分かれているように聴こえるかもしれません。
(ただ、寝ていた人は多分第4楽章が始まったら目が覚めると思います)
例えばこういう曲で「ジャン!」と第1楽章が終わった時には、拍手をしないという習慣があります。
(ただし第1楽章しか演奏しない日は、終わったら普通に拍手をします)
このタイミングで拍手が起きると、
我々演奏家には「今日は普段クラシックのコンサートにはあまり来ないお客様がいるんだな」
ということがすぐに分かります。
曲を知っている聴衆は「ここでは拍手をしない」ことを習慣としているからです。
これはちょっと悔しいですよねぇ。
せっかく「良かった!」と思って「ぱちっ」としたのに、他の人は全員シーンとしていたら、やっぱり気まずいですよねぇ。
こんなつまらないことで、音楽を嫌いになって欲しくありません。
なので、短い曲を2曲演奏するプログラムの場合、
例えばベリオ作曲「作品番号獣番」から“いなかのおどり”と“ねずみ”を2つ続けて演奏することがあるのですが、
(曲目のリンク先は“風の五重奏団”の音源が配信されているamazonのページです。
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「この曲を試聴する」ボタンが表示されない場合、ページを再読み込みすると表示される場合があります。
また、アマゾンプライム会員の方は「すぐに再生」ボタンが表示されるようです)
演奏する前に「2つ終わったら、まとめて拍手してくださいね」とお願いことがあります。
そして終わってから「ありがとうね。こういうこともあるから、知ってるといいよね」という感じで、
この習慣についてご説明することにしています。
今回で(2)どういう内容なの? は、おしまいです。
次回は(3)どういう人たちが来るの? です。
(つづく)
※この記事は以下の内容で「専門家プロファイル」にコラムとして掲載し、
ありのみ株式会社のブログにも同じ内容で投稿しています。
第3回:(2)どういう内容なの?~その1~(日程や時間設定、公演回数、会場、対象学年、保護者の参加などについて)
第4回:(2)どういう内容なの?~その2~(演奏曲目などについて)
第5回:(2)どういう内容なの?~その3~(なぜ豊富なレパートリーが準備できるのか)
第6回:(2)どういう内容なの?~その4~(「カノン」以外の共演曲について)
第7回:(2)どういう内容なの?~その5~(投影のシステムについて)
第8回:(2)どういう内容なの?~その6~(おまけ:拍手のお話)(今日はここ)
第10回:(4)どうやって申し込むの?~その1~「対象・募集時期と実施時期・書類の提出先と提出方法」
第11回:(4)どうやって申し込むの?~その2~「様式2」と「様式3」
第12回:(4)どうやって申し込むの?~その3~「様式4」と「様式5」と「様式6」
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(2020年4月10日up 4月22日更新 2022年4月28日更新 執筆:小川正毅)
このコラムの執筆専門家
- 小川 正毅
- (東京都 / 音楽家・プロデューサー)
- ありのみ株式会社 代表取締役 ホルン奏者・音楽プロデューサー
“風の五重奏団”(木管五重奏)のコンサートをプロデュース!
ホルン奏者。風の五重奏団を核としたコンサート等のプロデュース及び演奏(特に文化庁の芸術家派遣事業)が多くなっています。ホルンのレッスンもお受けしていますが、オーケストラの「管分奏」を担当することが多く、ステージで指揮をすることもあります。
「文化庁:芸術家派遣事業」のコラム
2024及び2025年度(募集中):文化庁「芸術家の派遣事業」の状況(2024/07/11 17:07)
2024/7/11更新:文化庁「文化芸術による子供育成総合事業~芸術家の派遣事業」の状況(2023/05/26 17:05)
2022年度 文化庁「文化芸術による子供育成総合事業~芸術家の派遣事業」とその後の状況(2023/05/17 19:05)
2021年度 文化庁「文化芸術による子供育成総合事業~芸術家の派遣事業」(2022/04/28 02:04)
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