文化庁の事業を利用して“風の五重奏団”の演奏を楽しむ方法【第7回】 - トランペット・管楽器 - 専門家プロファイル

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文化庁の事業を利用して“風の五重奏団”の演奏を楽しむ方法【第7回】

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文化庁:芸術家派遣事業


~小学校・中学校・高校・特別支援学校の「やる気」がある先生方向け~
「文化庁の事業を利用して、お金をかけずに音楽室で“風の五重奏団”(プロの木管五重奏団)の演奏を楽しむ方法」


第7回:(2)どういう内容なの?
~その5~(投影のシステムについて)



今回は“風の五重奏団”が、この事業(文化庁:文化芸術による子供の育成事業~芸術家の派遣事業)で
使用している投影のシステムについて、ご紹介いたします。

時々先生方から、どういうシステムなのかご質問を受けていますが、
それほど高価なものを揃える必要がある訳でもありません。

しかし、複数のハードと複数のソフトを組み合わせる以下の方法を解説したものは、
残念ながらあまり見当たらないようなので、ここでご紹介することにいたしました。

演奏、司会をしながら投影を操作するためには、今のところこの方法しかないように思います。
現在、50分のコンサートで、約80枚程度の文字や写真などを投影しており、
非常に安定して動いています。


【機材】(2020年4月9日現在)

・iPad-mini

操作をする上で片手で持つ必要があるため、iPad-miniを使用しています。
iPhoneやiPod tochでも使用可能ですが、他のことをしながら急いで操作するためには、
iPad-miniくらいの画面の大きさが使いやすいように思います。

・iPad用スタンド

amazonで数種類購入し、適宜使用しています。ただしこれは、
プログラムによって演奏中にもiPadを操作する場面があるために使っているものですので、
必ずしも必要ないかもしれません。

・プロジェクター(EPSON EB-S05)

もちろん上記以外の機種でも使えるものと思います。
下記無線LANユニット内蔵の上位機種も存在するようです。

・エプソン プロジェクター 無線LANユニット(ELPAP10)

プロジェクターと無線LANユニットは、必ず同じ世代のもので揃える必要があります。
エプソンのプロジェクターの説明書の最後の方に、
対応する無線LANユニットの品番が書いてありますが、
無線LANユニットには詳しい説明書のようなものは付属していないようです。

・スクリーン(EPSON モバイルスクリーン ELPSC21B 80インチ)

※上記のスクリーンは2020年4月現在、入手困難です。
学校にある児童生徒用の机一つの上に載せることができる大きさの足がついているため使っていますが、
あまり丈夫ではありません。 
セール期間にプロジェクターのおまけについてきたような感じのものです。
もっと良いスクリーンはたくさんあるように思います。

【ソフト・アプリ】(2020年4月9日現在)

・Open Office(Impress)

「Open Office」の中に含まれている「Impress」(無料)。
よく使われている「Office」の中に含まれている「パワーポイント」(有料)同等の
プレゼンテーション用ソフトです。原稿作成のためにパソコンで使用します。

一般的なプレゼンテーション用ソフトである「パワーポイント」があれば、もちろん
それで問題ありません。

ただし例えば「Impress」で作った原稿を「パワーポイント」で読み込む等すると、
文字がずれたりすることが多いと思われます。

当初はWin環境で、「iCloud」に含まれている「Keynote」(無料)で原稿を作っていました。「Keynote」も、無料で使えるプレゼンテーション用ソフトですが、
全てiCloud上で動くのでインストールの必要すらなく、便利でした。

しかし一時期動きが悪くなったため、
とりあえず手元のパソコンに入っていた「Open Office」に含まれている「Impress」で作り、
そのまま問題なく動き続け現在に至っています。

・iTunes

作成した原稿をパソコンからiPad-miniに転送するためだけに、パソコンで使用します。
無料。なお、iPad-miniにある原稿を削除することもできます。

・Epson iProjection

実際に投影を操作するために、iPad-miniで使用します。無料。


【大まかな手順】(2020年4月9日現在)

1)ソフト・アプリのインストール

パソコンに「Open Office」
(一般的なプレゼンテーション用ソフトである「パワーポイント」があれば、それで問題ありません)と
「iTunes」、iPad-miniに「iProjection」をインストールしておきます。

2)原稿を作成

「Open Office」に含まれる「Impress」(もちろん「パワーポイント」で問題ありません)で
原稿を作成し、PDF書類に変換しておきます。
PDF書類に変換しておくことで、投影時の文字のズレなどを防ぎます。

3)原稿をパソコンからiPad-miniに転送

パソコンとiPad-miniをケーブルで接続し、
パソコンにインストールしておいた「iTunes」を使用して原稿を転送します。
ファイルを転送するためだけに、なぜか「iTunes」を使います。

なおiPad-mini側で使うアプリは、「Epson iProjection」ですが、
転送の操作はパソコン側の「iTunes」でのみ行います。
転送が成功すると、「Epson iProjection」側にファイル名が現れます。

転送に関係する部分の位置が、「iTunes」のバージョンにより若干異なることがあり、
この部分が、慣れるまで少しややこしいです。
あれ?と思ったら、「iTunes」の画面を下にスクロールすると、
転送に関係する部分が現れることが多いように思います。

転送が終わったら、パソコンとiPad-miniを接続していたケーブルを外します。

4)プロジェクターとiPad-miniを無線で接続

ここからは、iPad-miniにインストールしておいた「Epson iProjection」で操作します。
プロジェクターに無線LANユニットを差し、iPad-miniと無線で接続します。
スクリーンにガイドが表示されますので、ここで迷うことはあまりないように思います。
最近のプロジェクターでは、スクリーンに表示されたQRコードをiPad-miniで読み込むことでも
接続できるようです。

5)投影

「Epson iProjection」で原稿を選び、投影します。当然ですが、投影にはパソコンは必要ありません。
iPad-miniと、無線で接続されたプロジェクターにより原稿をスクリーンに投影します。
操作は直感的にできるので、きっと簡単です。

「iProjection」の特徴として、パソコンの画面をそのまま投影している状態とは異なり、
iPad-miniの画面には前後数枚の原稿も、投影中の原稿と同時に表示されますので、
進行具合によって原稿を飛ばしたり、戻ったりすることも、紙をめくるような感じですることができます。

いかがでしょうか?ここまでお読みくださった皆様なら、きっとご自分でできると思います。

このシステムをお使いになっている理科や物理の先生に、これまで何人かお会いして、
盛り上がったことがあります。色々と応用がきくと思いますので、ご参考になれば幸いです。

6)必要なくなった投影用ファイルの削除方法(おまけ)

パソコンとiPad-miniをケーブルで接続し、
パソコンにインストールしておいた「iTunes」を使用して不要になった原稿を削除します。
削除の操作はパソコン側の「iTunes」でのみ行います。

不要になった原稿を選択しパソコンの「Del」キーを押します。
削除が成功すると、「Epson iProjection」側のファイル名が消えます。
削除が終わったら、パソコンとiPad-miniを接続していたケーブルを外します。


【投影を使うようになった経緯など】

NHK交響楽団の元首席オーボエ奏者、茂木大輔さんが企画、指揮する
「人間的楽器学」「徹底解説」「シェフのおススメ」といったコンサートシリーズに
オーケストラのメンバーとして参加していたことがあります。

このシリーズでは、
オーケストラの背後のスクリーンにテキストや写真などを投影しながら進行するスタイルをとっていて、
毎回大変好評でした。
もちろん投影の担当者が袖にいて、コンサートに合わせて操作を行っていました。

これを木管五重奏でできないかな、でも投影をしてくれる人はいないしな、
と思っていたところに偶然見つけたのがiPadとプロジェクターを無線でつなぐ方法でした。

投影を使い始めた2015年頃、確か名古屋大学がこのシステムを研究した結果をweb上で公開していて、
最初はこれを見て試行錯誤しました。専門用語の意味が分からず、苦労したことを覚えています。
(パンチアウト、え?、殴られるの?)

上記の通り、ソフトは供給されていたのですが、
それを組み合わせる方法を解説したサイトはなかなか見当たりませんでした。現在は、

iProjection iPad プロジェクター

などのキーワードで検索すると、ある程度の情報がヒットするようです。
いずれにしても、それほど特別なものは使っていません。
ただし原稿は気づいたことがあればこまめに更新し、常に改善していくように心掛けています。

次回はやっと、(2)どういう内容なの?の 最終回。「拍手のお話」をおまけに聞いてください。

(つづく)

※この記事は以下の内容で「専門家プロファイル」にコラムとして掲載し、
ありのみ株式会社のブログにも同じ内容で投稿しています。

第1回:はじめに

第2回:(1)本当に費用がかからないの?

第3回:(2)どういう内容なの?~その1~(日程や時間設定、公演回数、会場、対象学年、保護者の参加などについて)

第4回:(2)どういう内容なの?~その2~(演奏曲目などについて)

第5回:(2)どういう内容なの?~その3~(なぜ豊富なレパートリーが準備できるのか)

第6回:(2)どういう内容なの?~その4~(「カノン」以外の共演曲について)

第7回:(2)どういう内容なの?~その5~(投影のシステムについて)(今日はここ)

第8回:(2)どういう内容なの?~その6~(おまけ:拍手のお話)

第9回:(3)どういう人たちが来るの?

第10回:(4)どうやって申し込むの?~その1~「対象・募集時期と実施時期・書類の提出先と提出方法」

第11回:(4)どうやって申し込むの?~その2~「様式2」と「様式3」

第12回:(4)どうやって申し込むの?~その3~「様式4」と「様式5」と「様式6」

第13回:(5)申し込んだあとはどういう手順になるの?

第14回:(6)本当に大変なことはないの?

第15回:(7)それで、まずはどうしたらいいの?

第16回:(8)その他・近況など

第17回:あとがき


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(2020年4月9日up 4月22日更新 2022年4月28日更新 執筆:小川正毅

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ホルン奏者。風の五重奏団を核としたコンサート等のプロデュース及び演奏(特に文化庁の芸術家派遣事業)が多くなっています。ホルンのレッスンもお受けしていますが、オーケストラの「管分奏」を担当することが多く、ステージで指揮をすることもあります。

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