バブル崩壊やその後の景気変動の時も同じような問題がありましたが、結局そこから学んでおらず、「また同じことを繰り返している」との印象です。
企業側にしてみれば、あまりにも急激な情勢悪化ですし、やむに止まれぬ事情はあるのでしょうが、私は新卒学生の内定取り消しというのは、本当にどうしようもなくなった時の最終手段ではないかと思っています。
これから社会人としてのスタートを切ろうとしている学生にとって、内定取り消しのダメージは、職務経験がある既卒者や中途採用者の比ではありません。
新卒採用は実施時期に偏りがあるので、急に内定取り消しといわれても、時機を逸してしまうと対応するための選択肢が大きく狭まってしまいます。通年採用されている経験者とは異なります。また新卒には職務経験が無いですから、社会的には子供と一緒で、育てることが基本です。内定取り消しは「自分達が一人前に育ててやる」と言っておきながら、「やっぱり無理」と放り出していることになります。親子関係なら「育児放棄」と同じです。
ちょっと言葉が過ぎた感はありますが、学生を採用するということは、それだけの責任を持つ覚悟がなければならないのではないでしょうか。
もちろん倒産してしまってはダメですが、今内定取り消しをしている会社、検討している会社にそこまでの気概があったのか、はなはだ疑問に感じます。
「人を採用する」ということは「人の人生を左右している」ということ、大きな責任があるということを改めて考えて頂きたいと思います。
このコラムの執筆専門家

- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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