- 小笠原 隆夫
- ユニティ・サポート 代表
- 東京都
- 経営コンサルタント
-
03-4590-2921
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
「おせっかい」と「アドバイス」の間の紙一重のこと
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あるお店で食事をしていた時のことです。
40~50代くらいの女性客お二人が、近くにいた若い女性店員さんを呼んでいます。
その店は出入り口の一か所をクローズにして、別の出入り口に誘導する案内が出ているのですが、お二人はそのクローズした出入り口の近くの席に座っていて、どうもその案内がわかりづらいと言っているようです。
「間違って入ろうとする人がたくさんいるわよ」「これじゃあ分かりづらいのよ」という声が聞こえます。
この手の指摘というのは、ついつい「ああ、おせっかい!」と思ってしまい、もし自分が言われたとしても、あまり聞いていなかったり、その場だけでやりすごそうとしがちだったりしますが、この時の女性店員さんは違っていました。
「こちらに書いてあるだけでは見づらいでしょうか?」
「お客様も気になって落ち着かなかったですね。申し訳ありません。」
「ご指摘いただいてありがとうございます。」
そう言って数分後、大きめの字で書いた新しい案内の紙を持ってきて、その出入り口に貼り付けていました。指摘した女性客のお二人も満足そうに見ています。
言われたことをそのまま放置していたら、ただのおせっかいか、一方的な苦情になってしまったかもしれないことが、きちんとしたアドバイスになった瞬間でした。
私もコンサルタントという立場なので、自分の専門分野に関するアドバイスをすることが、仕事の一部でもあります。
自分なりに良いアドバイスができたと思った時には、それなりに達成感も満足感もありますが、この件で思ったのは、良いアドバイスというのは必ずしも自分の力だけでなく、聞いてくれる相手のおかげという部分がずいぶんあるのでだということです。
自分ではアドバイスと思っても、相手の受けとめによっては、ただのおせっかい、大きなお世話になってしまうこともあるでしょう。
逆にこちらの言い方で良くない点があっても、相手が謙虚な広い心で、肯定的に受け止めてくれることで、結果的に良いアドバイスになっているということもあると思います。
「おせっかい」と「アドバイス」の間は紙一重であり、もしも良いアドバイスができたとしたら、それは相手がうまく受けとめてくれたおかげもあるのだということを、あらためて肝に銘じておきたいと思います。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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