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閲覧数順 2025年05月19日更新

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「介護うつ」は起こり得る 自分を守り、大切な人を支え続けるために

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愛する家族の介護は、深い愛情から生まれる尊い行為です。


しかし、その一方で、終わりが見えない日々のケアは、介護者の心と体に大きな負担を強いる現実もあります。責任感や義務感から、知らず知らずのうちに無理を重ね、気づいた時には心が疲れ果て、「介護うつ」と呼ばれる状態に陥ってしまう・・・


これは決して他人事ではなく、介護に関わる誰もが直面する可能性のある、身近な問題なのです。介護うつは特別なことではありません。だからこそ、そうなる前に自分自身を守るための知識と工夫を知っておくことが、大切な家族を支え続けるためにも重要になります。今回は、介護うつを予防し、自分らしく介護と向き合っていくためのヒントについて考えてみましょう。

まず大切なのは、自分自身の心と体の変化、つまり「介護うつのサイン」に早めに気づくことです。


例えば、以前は楽しめていたことに興味が持てなくなった、よく眠れない、あるいは逆に寝すぎてしまう、食欲がない、または食べ過ぎてしまう、何をしても疲れが取れない、集中力が続かない、ささいなことでイライラしたり、涙もろくなったりする、自分を責めてしまう・・・


こうした気分の落ち込みや意欲の低下、身体的な不調は、心が発しているSOSのサインかもしれません。特に真面目で責任感の強い方ほど、「自分がしっかりしなければ」「弱音を吐いてはいけない」と、自分の心身の変化を認めようとせず、一人で抱え込んでしまいがちです。「最近、なんだか自分らしくないな」と感じたら、それは決して気のせいではありません。少し立ち止まって、自分の心と体の声に正直に耳を傾ける時間を持つことが大切です。


介護うつを防ぐためには、精神的な負担を溜め込まないための「工夫」が欠かせません。


その一つが、「完璧主義を手放す」ことです。「介護はこうあるべき」「もっとちゃんとやらなければ」という思い込みは、自分自身を厳しく追い詰める原因になります。介護も生活も、100点満点を目指す必要はありません。「まあ、いいか」「今日はここまで」と、自分を許せる心を持つことが大切です。手を抜けるところは上手に手を抜き、息抜きをすることも、長く介護を続けていくための重要なスキルです。


また、介護サービスを積極的に利用することも、決して手抜きではありません。訪問ヘルパーやデイサービス、一時的に施設に預かってもらえるショートステイなどを活用し、介護負担そのものを物理的に減らすことは、介護を続けるための賢明な選択です。利用することに罪悪感を覚える必要は全くありません。どんなサービスが利用できるのか、費用はどのくらいかかるのかなど、分からないことは一人で悩まず、地域包括支援センターや担当のケアマネジャーに相談してみましょう。専門家は、あなたの状況に合った情報提供やアドバイスをしてくれます。


そして、どんなに忙しくても、「自分のための時間」を意識的に作るようにしましょう。ほんの短い時間でも構いません。好きな音楽を聴く、ゆっくりお風呂に入る、散歩をする、友人と電話で話すなど、介護から離れてリラックスできる時間を持つことが、心のバランスを保つ上で非常に重要です。


介護生活は、社会との接点が減り、孤独を感じやすくなる側面があります。この「孤立感」も、介護うつの引き金となり得るため、意識的に人と繋がる機会を持つことが大切です。


まずは、家族や親族と介護の状況や自分の気持ちを率直に話し合い、協力体制を築きましょう。役割分担をしたり、情報共有を密にしたりすることで、「一人で背負っている」という感覚が和らぎます。介護の話だけでなく、他愛ないおしゃべりができる友人や知人との交流も、良い気分転換になります。直接会うのが難しければ、電話やオンラインでのコミュニケーションも活用しましょう。


そして、ぜひ探してみてほしいのが、「介護者の家族会」や「自助グループ」といった、同じ立場の仲間が集まる場です。そこでは、日頃の悩みや愚痴を気兼ねなく話したり、共感し合ったりすることができます。「大変なのは自分だけじゃないんだ」と感じられるだけで、心が軽くなるものです。


また、介護に関する実践的な情報交換ができるメリットもあります。お住まいの地域の社会福祉協議会や地域包括支援センターなどで、こうした会の情報を得られる場合があります。最近では、オンライン上の介護者コミュニティやSNSグループなども増えています。匿名で参加できるものも多く、時間や場所を選ばずに、気軽に気持ちを共有したり、情報を得たりする場として活用できます。


様々な工夫をしても、気持ちの落ち込みが続いたり、日常生活に支障が出たりするような場合は、決して一人で抱え込まず、専門機関に相談することをためらわないでください。かかりつけの医師や、心療内科、精神科、地域の精神保健福祉センターなどが相談先となります。専門家のサポートを受けることは、特別なことでも、弱いことでもありません。


介護は、長い道のりになることも少なくありません。だからこそ、介護者であるあなた自身が、心身ともに健やかでいることが何よりも大切なのです。完璧を目指さず、頼れる人やサービスを上手に頼り、同じ経験を持つ仲間と繋がること。そうした工夫を重ねながら、どうかご自身を大切にしてください。


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(東京都 / 経営コンサルタント)
株式会社アースソリューション 代表取締役

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有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。

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