不動産業者も見落とす、物件購入の落とし穴‐【不確定な契約条件の注意点/地盤チェック⑦】
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地盤チェック③では近隣のボーリングデータの見方などについて説明しましたが、
普段からボーリングデータを目にすることがある環境や、少しでもその内容について
勉強した者でないと、なかなか理解しづらい資料だと思います。
実際、数年のキャリアがある不動産業者でも、基本的な見方すら分かっていないことが
多く、間違った判断や見解を説明しているケースがあります。
今回は、もう少し分かりやすい判断材料となる情報を紹介します。
まずは、『液状化予想図』です。
これは、東京都土木技術支援・人材育成センターがホームページに掲載している情報で、
液状化の「可能性が高い地域(赤)」「可能性がある地域(黄)」「可能性が低い地域(緑)」
の3ランクで液状化の可能性を領域表示した判定図です。
http://doboku.metro.tokyo.jp/start/03-jyouhou/ekijyouka/index.htm
この予測図で液状化の可能性を判定している領域は、収集したボーリング資料の
分布などをもとに描画したものなので、ある程度地盤の良し悪しを変断する際の
材料になります。
もちろん、絶対に液状化する・しないと断定するものではないですし、
「液状化の可能性が低い地域」についても、盛土の状況によっては液状化の
可能性のある場所もあると思います。また、液状化は発生しないことを
掲載元が保証するものでもありません。
あくまで、そのエリアが概ねどういった地盤であることが多いか、その可能性を
予見するものです。
もし赤いエリアであれば、近隣のボーリングを取得してさらに詳しい地盤状況を
探ってみたり、それで軟弱地盤の可能性が高いようであれば地盤改良費用や費用の
負担先、改良工事の責任の帰属先の確認と交渉、資金見計画など、契約・引渡しに
あたっての調査や取決め事項(費用負担など)を意識して取り組んでいく為に活用する
初期段階の判断材料になります。また、購入自体を検討し直した方がよい場合も、
早い段階で気付ける可能性が高くなります。
また、法務局で取得できる資料に、昔の地目が分かる『旧土地台帳』について
掲載したコラムがありますので、是非、参考にして下さい。
昔の地目-3
http://ameblo.jp/adcast-escrow/entry-11262074171.html
尚、今回ご紹介した液状化予想図は、地盤改良などの効果は考慮されていないので、
本地をしっかり調査し、適切な対処をすることで対策することができます。
当然、その対処・対策には費用がかるものが多いので、その見積もりや資金計画が
ショートしないかどうか検討する必要があります。
それらが、契約後や引渡し後になって発覚すると、資金繰りができなくなったり、
建物プランを大幅に変更する必要が生じたり、最悪、予算内では建築が難しい
ケースすらあるかもしれません。
大切なのは、それら調査、適切な対処方法、必要な金額の見積、資金計画の見直し等を
事前に行うことです。
事前にトラブル要因を解消することで、後々発生するトラブルを回避することができます。
次回は、事前にトラブル要因を発見、解消する為の契約条件について解説します。
【33】不確定な契約条件の注意点-20:地盤改良費①
http://profile.ne.jp/pf/adcast-fujimori/c/c-114390/
【34】不確定な契約条件の注意点-21:地盤改良費②
http://profile.ne.jp/pf/adcast-fujimori/c/c-115260/
【35】不確定な契約条件の注意点-22:地盤改良費③
http://profile.ne.jp/pf/adcast-fujimori/c/c-115269/
【36】不確定な契約条件の注意点-23:地盤改良費④
http://profile.ne.jp/pf/adcast-fujimori/c/c-120267/
【37】不確定な契約条件の注意点-24:地盤改良費⑤
http://profile.ne.jp/pf/adcast-fujimori/c/c-120333/
【38】不確定な契約条件の注意点-25:地盤改良費⑥
http://profile.ne.jp/pf/adcast-fujimori/c/c-120780/
【39】不確定な契約条件の注意点-25:地盤改良費⑦
http://profile.ne.jp/pf/adcast-fujimori/c/c-120869/
【40】不確定な契約条件の注意点-25:地盤改良費⑧
http://profile.ne.jp/pf/adcast-fujimori/c/c-122956/
このコラムの執筆専門家
- 藤森 哲也
- (不動産コンサルタント)
- 株式会社アドキャスト 代表取締役
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?
売ってしまえば終わり・・・になりがちな不動産業界の現状に疑問を抱き、不動産購入には欠かせないお金の勉強をスタート。FP資格を取得。住宅購入に向けての資金計画、購入後の人生設計までトータルにサポートする「一生涯のパートナー」を目指しています。
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