私自身は社会に出てから現在に至るまで、もちろん忙しかった経験は多々ありますが、幸い当たり前のように休日返上を要求されたことも無く、適度に休むことが可能な環境で仕事をしてくることが出来ました。自分で出来るだけそうしようと意識していた部分もあります。ただこれも、「仕事中心が当たり前」と考える人にとっては「考えが甘い」、「取り組み姿勢がなってない」ということでしょうし、私のような例は、世間一般から見れば恵まれていたように思います。
私の考えとしては、自ら進んで「休日返上で働くぞ」という人はそれで良いのだと思いますが、本当は休みたいのに休めない、働くことを強制されている人たちがいるのが問題なのだと思います。休みたいと思っている人も、単に楽がしたい、可能な限りグウタラしたいという訳ではなく、多くの人は少し体調が優れない時、ちょっとだけ家庭の事を優先したい時、少しだけ気分転換がしたい時などに、出来るだけ周りに迷惑をかけずに少しだけ休みたいということではないでしょうか。みんながみんな、「有給休暇は全部消化させろ」といっているわけではないはずです。
経営者や管理者など企業で中心的な役割にいる人たちの場合、概して仕事中心で上昇志向が強く、「休むことは悪」といった感覚が根底にあるように思います。確かに中小企業では、こういう気持ちで団結していかなければ潰れてしまうという部分もあるでしょう。しかしこのような意識を強制することで、過労死につながるような過重労働や社員のメンタルダウンを生み出しているという面が間違いなくあると思います。
やはり人によって意識も感じ方も違いますから、“社員個々のパフォーマンスを最大限に発揮させる”という観点で考えれば、“休ませることで動機付けする”ということも考える必要があるのではないかと思います。
(関連コラム:動機付けの違う3タイプ)
このコラムの執筆専門家

- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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