「中小会計要領」~各論その8~ - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

山本 憲宏
山本公認会計士事務所 所長
滋賀県
公認会計士
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「中小会計要領」~各論その8~

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今回も「中小会計要領」の各論の解説の続きです。

今回は、「8.固定資産」を取り上げます。

固定資産については、論点が数多くありますので、本来1日分のブログの量で解説が終わるものではありません。そのため、今回は、「中小会計要領」の解説にそって解説していきたいと思います。

 

まずは、本文の抜き出しからです。

 

(1)固定資産は、有形固定資産(建物、機械装置、土地等)、無形固定資産(ソフトウェア、借地権、特許権、のれん等)及び投資その他の資産に分類する。

(2)固定資産は、原則として、取得原価で計上する。

(3)有形固定資産は、定率法、定額法等の方法に従い、相当の減価償却を行う。

(4)無形固定資産は、原則として定額法により、相当の減価償却を行う。

(5)固定資産の耐用年数は、法人税法に定める期間等、適切な利用期間とする。

(6)固定資産について、災害等により著しい資産価値の下落が判明したときは、評価損を計上する。

 

固定資産は、長期間にわたり企業の事業活動に使用するために所有する資産であり、有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産に分類されます。

 

固定資産の取得価額は、購入の場合においては、購入金額に引取費用等の付随費用を加えて計算します。

建物や機械装置等の有形固定資産は、通常、使用に応じてその価値が下落するため、一定の方法によりその使用可能期間にわたって減価償却費を計上する必要があります。すなわち、定率法、定額法等の減価償却の方法に従い、相当の減価償却を行うことになります。

定額法とは、毎期一定の額で償却する方法であり、定率法とは、毎期一定の率で償却する方法です。

減価償却は、固定資産の耐用年数にわたって行います。実務上は、法人税法に定める期間(法定耐用年数)を使うことが一般的です。ただし、その資産の性質、用途、使用状況等を考慮して、適切な利用期間(経済耐用年数)を耐用年数とすることも考えられます。会計的には、経済耐用年数が原則でありますが、法定耐用年数が経済耐用年数と大きく違わないことを前提として法定耐用年数を使用することを認めています。

 

有形固定資産と同様の考え方により、無形固定資産は、原則として定額法により、相当の減価償却を行うことになります。

 

会計上は、「正規の減価償却」を行わなければなりません。この正規の減価償却とは、毎期、計画的、規則的に減価償却を行うことです。「中小会計要領」の本文に述べている「相当の減価償却」とは、会社法に規定する「相当の償却」からきている表現だと思われます。ただし、「正規の減価償却」と「相当の償却」の内容が大きく異なるわけではありませんので、「中小会計要領」の解説にもあるように「相当の減価償却」においても毎期、規則的な減価償却を行う必要があると考えられます。

 

なお、固定資産においても減損を行うことが求められるケースがあります。例えば、災害にあったような場合等予測することができない著しい資産価値の下落が生じる場においては、相当の金額を評価損として計上する必要があります。

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