小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ「望ましい人材像」と「食い違う社風」
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どこの会社でお話をうかがっても、「自分で自律的に動ける人材」「自発的で積極性がある人材」「気が利いて先回りできる人材」が望ましいとおっしゃり、「そういう人がなかなかいない」ともおっしゃいます。
しかし、おっしゃる言葉は同じでも、それがどれくらいなのかという程度は、会社によってとらえ方が違います。よくよくお話をうかがうと、言葉で望ましいと言っている人材像と実際のところが、ずいぶん違っていると感じる時があります。たぶん、「望ましい人材像」を、今いる社員との比較で表現していて、世間一般でいう尺度をあまり意識していないためではないかと思います。
どういうことかというと、例えば、口では「自律人材」と言いながら、会社の制度や規則が細かく決められていて、社員はいかにしてそれを守るかが求められ、実際にはそんなに自律的である必要がない、なんていう場合です。自分の判断で仕事を進めようとすると、「手続きを守らない」「規律を乱す」「組織的な動きができない」などと批判されます。
本当の意味で自律的な能力がある人材ならば、こういう組織は本人にとって、最も居心地が悪い組織と感じるでしょう。
また、チームで動いて成果を出す仕事なのに、個人目標に対する成果だけで評価される、なんていう場合も同じような事が言えます。チームワークや協調が必要なのに、仕組みがそれとは反対の部分を強調しているようでは、望ましい仕事の進め方が定着することなどあり得ません。
特に社風や日常の仕事というような、当事者である経営者、管理者、社員にとって当たり前になっていることの場合、言っていることとやっていることの食い違いに、自分たちは気づきづらいものです。そんなつもりはないのかもしれませんが、居て欲しいはずの人材に嫌われるような制度、風土、雰囲気を作り上げてしまっている会社は意外に見かけます。
会社の望ましい人材にとって居心地が良く、共感できる制度、仕組み、風土でなければ、望ましい人材が会社からどんどん流出してしまうかもしれません。
こういう食い違いを無くすには、自分たちの考えていることと、実際にやっていることのギャップを、客観的に常に確認し、そのギャップを減らす努力を続けていくことしかありません。
皆さんの会社でも、言っていることとやっていることに食い違いがないか、制度、仕組み、社風といった面から、あらためて確認してみてはいかがと思います。本末転倒というようなことが、意外と見つかるかもしれません。
(ついでに宣伝させて頂くと、私たちのような社外人材を活用することも、そのための一つの手段です!)
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