小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ期限に追われがちな「仕事の優先度」
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先日、ある会社の研修で、仕事の優先度の話をしました。「緊急性」と「重要性」で判断する仕事の優先度の話です。
事例としてはご存知の方も多いと思いますが、多くの組織では「仕事の優先度」を決める時に、その仕事の重要性(大事かどうかの程度)でなく緊急性(いつまでにやるかの期限)で決めてしまうことが多いというもので、「本当は重要な事の方を優先すべきじゃないの?」というお話です。
「“緊急で重要な仕事”は最優先、“緊急でなく重要でない仕事”が後回しなのは当然だが、“緊急だが重要でない仕事”と“重要だが緊急でない仕事”はどちらを優先しますか?」と問いかけると、大体の人が「あっ・・・」という感じで考え込みます。たぶん、「そう言われれば目先のことに振り回されて、本当に大事なことに取り組んでいないかも・・・」と思うのでしょう。
しかしその研修のときはちょっと違っていました。6名ほどのメンバーでしたが、全員があまり躊躇なく「緊急の仕事が優先」と答えました。「本当にそう?」と問いかけると、少し考えた後、「どちらも同じくらいかも」という答えでした。
言わんとする内容を知っている人がこの話を聞くと、ついつい「なんだ、こんなことも理解できないのか・・・」となってしまいがちですが、これは背景がいろいろあって、この時の研修対象が現場の一般社員の方々で、日々上司や先輩からの指示を受けながら仕事を進める立場の人だったこと、細かい案件に多数取り組まなければならない仕事柄で、なおかつ一つ一つの案件での期限を厳格に問われるので、常に納期、期限を意識して緻密に仕事を進めていかなければならないこと、そんな仕事柄を反映してか、真面目でコツコツ型の性格の方々が多いこと、などがありました。
「緊急だけど重要でない仕事」には、やらなくても影響が少ない仕事、自分でない誰かにやってもらっても良い仕事が含まれている可能性があります。だから「自分の仕事を重要性という観点で見直して、優先順位を考えましょう」ということなのですが、たぶんこの時の参加者の仕事を考えると「緊急だけど重要でない仕事」が身近にはほとんど無かった、もしくは思いつかなかったのだろうと思います。 こちらの思い込みだけで、教科書通りの正解に導こうとしても無理があったということです。
その後、もう少し説明をかみくだいて「ただ言われた順に考えずに仕事をしていませんか?」「無駄なことに時間をかけていませんか?」「本当にそれはあなたがやるべきことですか?」と問いかけたところ、少しは理解してくれたようでした。
「仕事の優先度」の考え方について、こういうセオリーは知っておくべき、知らせておくべきだという事とともに、相手に合わせた投げかけをすることの大切さも考えさせられた一件でした。
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