小笠原 隆夫
オガサワラ タカオたまには「後ろ向き」も良い
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自分では「向上心には無縁」とか、「別に今のままで良い」などと言っていても、自分の身の回りの事柄で今より少しでも良くなりたい、前向きに進歩したいと思うことが、それがものすごく小さなことであっても、誰でも何か一つや二つはあるはずです。しかしそう思っていてもなかなか具体的に取り組めなかったり、やり続けることは難しかったりするものです。
「私はこんな意識で自己変革を果たした」みたいな、ご自身の体験が書かれたようなビジネス本を時々見ます。読んでみて「すごいなぁ」と思いますが、たぶんマネはできないだろうとも思います。自分で変わろうと思って変われる人、きっかけを見いだせる人は、やっぱりそういう才能を持っている、ある意味では特別な人だと私は思います。
普通の人はそんなに意志が強くないし、考えていてもなかなか行動に移せない、またそんな自分に嫌悪感を持ったり、「前向き」でない自分を責めたりということもあるのではないでしょうか。(真面目な人ほどそんなところがあるように思います)
私はそんな時、思いっきり「後ろ向き」に昔を振り返ってみます。それも2年、3年という単位ではなく、事柄によっては高校時代とか中学時代とか、数十年前までさかのぼることもあります。なぜかというと自分の変化を自覚するためです。
自分のことを少しでも良くしたい、進歩したいという取り組みがなかなかできない、続けられないということがあったとすれば、その理由は明らかで、自分の進歩が見えない、良くなったかどうかが実感できないからです。
これを長い目で見ると、考えていること、置かれている境遇、その他いろんなことが大きく変わっているもので、振り返ってみると自分が大きく変化していることに気づくはずです。場合によっては「昔の方が良かった・・・」なんてこともあるかもしれませんが、少なくとも自分の内面としてはいろいろな人生経験を積み、感性も変わり、その時々では感じていなかったことでも、今になって見れば「こんな出会いがあった」「これがきっかけだった」などと気づくこともあるはずです。何かしらの“進歩”が必ずあるはずです。
世に出て来る成功体験は、何でも「前向き」に取り組んだことでうまくいったというような話ばかりで、「後ろ向き」なことは、何かとてもいけない事のように感じてしまいますが、振り返ることは時には必要と思います。それがクヨクヨすることであっても後悔であったとしても、以前とは違う感じ方ができるかもしれません。
たまには思いっきり「後ろ向き」に振る舞ってみて、自分の変化を良い意味で感じてみることも必要ではないかと思います。「後ろ向き」だって良い事もあるはずです。
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