小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ日本人は上意下達が心地よい?
-
私がいろいろな企業で社員の方々からお話をうかがうと、「会社が○○してくれない」「上司が○○してくれない」という言い方に時々出会います。私も若い頃はそう思うことが多々ありましたが、最近これにはちょっと違和感を感じます。
少し前になりますが、ある会社で研修した時に、「会社からの制約が多くて自由にやらせてくれない」という話が出たので、研修の場ではテーマも進め方も、すべてを自分たちで決めてもらう形にしたことがあります。でも、いざ自分たちで決めるとなると、何をどうして良いかがわからなくなってしまうようで、結局ほとんどすべてのことで指示を求められてしまいました。自分たちが実は会社に強く依存していて、指示されないと意外に何もできないという事実に気付いていないのです。
テレビのニュース映像などを見ていると、「国が○○してくれない」「国や行政に○○してほしい」という言葉をよく聞きます。それぞれに大変な事情があって、本来は国や行政が行ってしかるべきなのかもしれません。でもその言葉に、私はどこか人任せな印象を持ってしまいます。
特に日本人は、昔からの気質なのか、常にお殿様がいた政治体制のせいなのか、「お上の言うことには逆らえない」という所があるように思います。お上の批判はするけれど、いざ自分たちの責任に降りかかってくると意外に何もできない・・・。お上が何かしてくれるのを待っている・・・。上意下達で言われることが、実は心地よいのではないかと思うことがあります。主体性や自立心が足りないと感じます。
一方でこれは強みなのかもしれません。強くて有能なリーダーがいれば、その人を頂点にまとまれるからです。ここに更に主体的な考えができるメンバーが揃ったら、本当に強い組織になるはずです。(ただ、強いリーダーは生まれにくい環境かもしれませんね。)
上意下達をすんなり許容できる特性を保ちながら、自分たちの主体性を磨いていくことができれば、日本の組織ってとっても強くなると思うのですが、皆さんはいかが思われるでしょうか。
「社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集」のコラム
誰でも陥る「人物評価の思い込み」(2024/04/03 23:04)
「目指したい上司」がいる幸運といないことの当たり前(2024/03/06 14:03)
注意が必要と思う「生産性が低い」という指摘(2024/02/21 18:02)
「失敗」「挫折」の体験は成長に必須か?(2023/10/26 09:10)
問題は「閉鎖的な組織環境」でエスカレートする(2023/10/11 22:10)
このコラムに関連するサービス
業者頼みなんて事が意外に多い採用活動の相談。皆さんと同じ企業人事の目線でアドバイスします。
- 料金
- 無料
採用活動というのは、他社と比較する機会が意外に持ちづらく、自らの経験と創意工夫で進めていることが多いものです。今までのやり方に固執していたり、業者頼みの情報で踊らされていたりということもありがちです。企業人事を熟知した立場で採用活動の「困った」「迷った」「悩んでいる」を一緒に考え、アドバイスします。