小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ「希望と違う仕事」に向き合うための三つのこと
-
ある会社の若手女性社員から、仕事に関する相談を受けました。今の担当業務は自分の希望とは違っていて、面白味を感じられないでいるそうです。
以前から自分なりに取り組んでいたことがあるようで、それとつながりがある仕事に関わりたいという希望があるそうです。過去に感じた充実感と現状にギャップがあるようで、セルフモチベーションについて悩んでいます。すぐに辞めたいということではないですが、それほど深い面識があるわけではない私に相談するほどなので、結構真剣に悩んでいると思います。
そうやってあらためて問われると、会社の中で「自分のやりたい仕事」という希望をかなえるのは、それほど簡単なことではありません。
私自身も、広い意味ではそのことに耐えられずに辞めて独立したようなものなので、助言できる資格があるかは疑わしいところがあります。
ただ、話を聞いて、一緒に考えながらあらためて必要と思ったのは、以下の三つのことです。
一つ目は「自分の希望を発信し続けること」です。
会社で仕事をしている場合、社員の希望を受け入れるかどうかを決めるのは会社であり、そこでは特に上司がどう思っているかが重要です。他人に認めてもらうには適性や実績、熱意などで「彼、彼女を応援しよう」「やらせてみよう」と思ってもらわなければなりません。理解してもらうには、自分の思いを発信し続けるしかありません。
二つ目は「今の環境を否定的せずに面白さを見つけること」です。
もしも希望した仕事に変わることができたとしても、それを本当に面白いと思えるかはやってみなければわかりません。逆に今の環境での様子は、すでに経験してきてわかっていることです。
仕事というのは、つまらないと思えば限りなくつまらないですが、ちょっと考え方を変えるととらえ方も変わります。「誰かに感謝された」「その仕事がうまい、向いているなどといわれた」「役得を感じることがあった」など、きっかけやエピソードはいろいろですが、「つまらない」と「面白い」はどちらも主観なので、自分の気持ち次第で良くも悪くも変わります。
三つ目は「どうしても時間がなければ環境を変えるしかないこと」です。
前の二つのことは、どちらも結果が保証されるものではなく、何か期限がある訳でもありません。限られた時間の中で、可能性が見いだせない環境に居続けるのは時間の浪費でしかなく、どこかで見切りをつけるしかありません。
では、そのタイミングがいつなのかと言うことですが、結局それは自分で決めるしかありません。いろいろな人から話を聞いたり、他社状況を調べたり、できるだけ幅広く情報を集めることが望ましいですが、最後に判断するのは自分です。
こうやってあらためて考えると、企業の中で自分のキャリアを主体的に決めようとしても、それは簡単ではないことがわかります。会社が社員の希望を理解して歩み寄り、お互いWin-Winの形になればよいですし、実際にそういう動きをしている企業も増えてきています。
会社で仕事をする中で、難しさはあったとしても、「自分のキャリアは自分で考えなければならないもの」と強く思います。
「社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集」のコラム
誰でも陥る「人物評価の思い込み」(2024/04/03 23:04)
「目指したい上司」がいる幸運といないことの当たり前(2024/03/06 14:03)
注意が必要と思う「生産性が低い」という指摘(2024/02/21 18:02)
「失敗」「挫折」の体験は成長に必須か?(2023/10/26 09:10)
問題は「閉鎖的な組織環境」でエスカレートする(2023/10/11 22:10)
このコラムに関連するサービス
【無料】250名以下の企業限定:社員ヒアリングによる組織診断
中小法人限定で当事者には気づきづらい組織課題を社員ヒアリングで診断。自社の組織改善に活かして下さい。
- 料金
- 無料
組織の課題は、当事者しかわからない事とともに、当事者であるために気づきづらい事があります。これまでの組織コンサルティングで、様々な組織課題とその改善プロセスにかかわった経験から、貴社社員へのヒアリング調査によって組織課題を明らかにし、その原因分析や対策をアドバイスします。予算がない、依頼先を見つけられないなど、社外への依頼が難しい中小法人限定です。社員ヒアリングのみで行う簡易診断になります。