小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「独立にまつわる「感情」のトラブル」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
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小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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独立にまつわる「感情」のトラブル

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 現場の事例・私の体験 2023-01-11 20:00

 ここ最近、芸能人が所属事務所から独立するという話をよく耳にします。

 少し前までは、その行動自体が裏切りととられ、仕事から干されたり嫌がらせを受けたりという話を聞きましたが、それが少しは改善されてきたということでしょう。それでも独立にまつわるトラブルは、まだいろいろあるようです。

 

 芸能界に限らず、私たちのようなビジネスの世界でも、“独立”“移籍”“引き抜き”“転職”にまつわるトラブルはあります。

 既存の組織から独立しようと考える人は、今持っている人脈などをたどりながら、独立後の仕事に向けて動くのは当然で、何も持たずに裸一貫で飛び出そうなどというのは極めて稀なことです。

 しかし、ここで行き過ぎた動きが出てくると、必ず何らかのトラブルが起こります。こういったとき、私が今まで見てきた様子で思うのは、ほとんどのトラブルの始まりが、ちょっとしたボタンのかけ違いによる「感情的な」わだかまりであるということです。何か具体的な損害があるというよりは、「聞いていない」「筋道が通っていない」「話の順序が違う」など、あまり論理的とは言えないものです。

 

 これは私が知る一例ですが、ある会社の部長クラスの人が、同じ業界で独立して会社を興すことを考え、自分が関わっている顧客先や協力会社、取引業者に内々でそんな話をしていたそうです。

 話した相手からは「部長との取引は継続しましょう」「これからもお願いします」「応援します」など、前向きな言葉をたくさんかけられたようですが、いざ自社の上司である取締役にこの話を持ち出した時、非常に厳しい顔で「協力はできないし独立は許さない」と言われたそうです。

 

 本人としては今まで会社には十分貢献してきたし、社長をはじめとした経営陣との関係も良好と思っていたので、そんな言い方をされるとは思ってもいなかったようです。

 これまで自分が十分に貢献してきたことや、これからも会社とは良い関係を続けたいことなどを話し、「それなのになぜ?」と尋ねたときに返されたのは、「お前は順序を間違っている」「礼を失している」という言葉でした。

 

 実は、本人がこの話をする前から、会社には関係者を通じてすでに独立のうわさが耳に入っていたそうです。会社として、そんな話は最も影響を被る会社に対して一番初めにするべきであり、そういう関係をないがしろにする人間は信用できないし、付き合いたくもないと思ってしまったようです。

 

 こうなってしまうと、独立しようという部長に対して、それまで好意的だった顧客先や協力会社などは、急に距離を取るようになっていきました。

 関係先からすれば、そんな争いに巻き込まれて得することはありませんし、そもそも元の会社を通じて始まった付き合いなので、その取引を失うようなことになっては元も子もありません。そんな動きになるのは仕方がないことでしょう。

 

 結局、この部長は独立を断念して会社に残りましたが、信頼を失ったツケは大きく、社内の役職を失って、それまでのつながりから離れた経験がない別事業を細々と担当しています。会社にとっては、顧客を奪って出ていこうとした裏切り者、危険人物のイメージなのでしょう。

 

 もしもこの独立の話を、会社の上司などに一番初めにしていたとしたら、事前に時間をかけて話し合って、対外的な動きはその後にしていたら、もしかすると結果は違っていたように思います。その分かれ目は、結局ちょっとした「感情」の行き違いでした。

 

 話は戻って芸能人の独立トラブルについて、私は報道からの情報しか知りませんが、「○○が怒っている」「××の話で不信感を持った」「話を通さないで動いていた」「筋を通していない」「許せない」など、出てくるのはほとんどが「感情」に関わることばかりです。

 

 やはり人間がやることは、理屈だけで解決できるものではありません。他人の「感情」に敏感であることは、難しいですが大事なことだとあらためて思います。

 

 

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